守護神が厳しい言葉でアメリカ戦を振り返った。

 アメリカで開催されている『2024 SheBelieves Cup』に参戦中のなでしこジャパンは現地4月6日、準決勝でアメリカ女子代表と対戦。清家貴子のゴールで先制も、その後2失点して1−2で逆転負けに終わった。

 勝機が見えたのは先制したところまでで、以降は相手のスピードとパワーに圧倒された。前からの圧力を受けて全体が押し下げられ、簡単にスペースを使われて何度もピンチを迎える。ボールを持ててもクサビのパスが入らず、なかなか前進ができないまま苦しい時間が続いた。

 押し込まれる展開のなか、再三にわたる好セーブでチームを救っていたのが、GK山下杏也加。最後尾から戦況を見守るなかで感じた課題を、山下はこう明かす。

「きょう出てたスタメンの人たちは対外国人で、海外でプレーしているので、どこまで下がったら足を振ってくるとかわかってるはずなのに、ずるずる下がってラインも下がって、下がった分スペース与えて、どうしたいのかちょっと分からない状態でした」
【PHOTO】ブラジル戦での出番に向け、宮澤・北川・林らはハードに練習!笑顔でトレーニングを行ったなでしこジャパン!
 日本はサイドからも再三攻め立てられた。守護神は「ディフェンスはゴールから敵を離すために何をするべきか。誰かが下がって、人と人の距離感が広がったら、そのスペースに敵も入るし、当たり前のことが前半できていなかった」とし、試合の中での修正が遅れたのを敗因のひとつに挙げる。

「当たり前のことが前半できていなくて、ビルドアップもストレスでした」

 そう悔しい表情を見せる山下は、これがパリ五輪の準備段階での一戦で、本番ではなかったことには安堵しつつ、「特に何かがあったアメリカではなかったし、ああいうチームがたくさんヨーロッパやカナダなど、同じようなチームもいる。もったいないなと思います。何でアメリカに勝てないんだと。負けてるのであれですけど、自分のなかの割り切りも必要かなと思います」とした。

 パリ五輪開幕まであと約3か月半。これを長いと見るか短いと見るか――アメリカ戦で露呈した課題としっかり向き合い、修正して9日に行なわれる次戦のブラジル戦に臨みたい。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

【記事】「ライバル視はマジでない」なでしこJの主将・熊谷紗希は新鋭MF谷川萌々子をどう見ている?

【記事】なでしこジャパンが敵地アメリカで起こした“21年ぶりの快挙”に米メディアも驚き!「5万644人の観客動員は史上最多だ」など記録づくめ

【PHOTO】なでしこJのアメリカ戦出場16選手&監督の採点・寸評。清家が開始30秒で先制点をゲット