U-23日本代表が、パリ五輪の最終予選を兼ねるU-23アジアカップの準決勝でイラクと対戦し、２−０で勝利。８大会連続の五輪出場を決めた。

　日本が相手を上回ったね。攻撃的なスタメンで臨み、イラクが引いてきたところにしっかりと前からプレスをかけにいった。28分に細谷のゴールで先制した後も攻撃の手を緩めず、流れも良く、42分に荒木の追加点でリードを広げた。

　後半はビハインドのイラクが積極的に出てくるなかでも、日本は途中交代で入った選手たちを含めてプレスをかけ続けた。しっかりと守れていて、攻め込まれてもピンチは少なかったね。３点目は取れなかったけど、無失点に抑えたのは見事だった。

　今大会、グループステージ初戦の中国戦（１−０）で前半に退場者を出し、３節の韓国戦（０−１）では敗戦。準々決勝のカタール戦（４−２）では10人になった相手に対して延長戦にもつれ込むなど、様々な経験をしてきた。ここまでに得た自信、そして課題の修正を活かせたと思う。

　イラクに勝った大岩ジャパンのなかで、最も目立っていたのが藤田だ。細谷と荒木のゴールを演出した２つのアシストはともに質が高かったし、それ以外の場面でも積極的にプレーに関与して、攻守に効いていた。

　大会を通じてアピールに成功したと思う。得点に絡めるボランチは貴重だから、A代表でも見てみたい選手だ。森保ジャパンがミャンマー、シリアと対戦する６月のワールドカップのアジア２次予選で起用すれば、面白いんじゃないかな。
【厳選ショット】パリ五輪への切符を掴み取る！前半の細谷＆荒木の得点を守り切り決勝へ進出！！｜U-23アジアカップ準決勝 U-23日本 ２−０ U-23イラク
　一方で、五輪出場決定は良いニュースだけど、８大会連続だと騒ぐのは疑問だ。大事なのは回数ではなく、内容だからだ。五輪ではメダルを取らなければ喜べない。A代表でレギュラーの座を獲得している選手が、今回のメンバーにいないのも気になるね。

　決勝戦の相手はウズベキスタンだ。全勝かつ無失点で勝ち上がってきているし、ジャロリディノフやノルチャエフら能力の高い選手もいる。今大会では、日本と並んで最も強いチームだ。

　攻撃力のあるチーム同士の対戦で、ファイナルにふさわしいカードになったと思う。日本は五輪出場を決めたとはいえ、１位と２位では価値が全く違う。準優勝では成功したとは言えないよ。

　ぜひとも優勝して、アジアチャンピオンとしてパリ五輪に出てほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後（せるじお・えちご）／1945年７月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部（現・湘南ベルマーレ）で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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