今季、FC東京に2-1と競り勝った試合後、FC町田ゼルビアの黒田剛監督は印象的な言葉を残した。

「去年(J2リーグで)連敗せずに優勝を手繰り寄せた経験から、『連敗すると一気に崖から転がり落ちる悲劇がある』ということを選手たちに伝えて向き合わせました。転がったら早いぞと。今は食らいつけば上にもいけるし、トップを狙えるポジションにいる。1試合、2試合で7、8位、気づいたら10位以下ということもあるし、毎節ごとに状況が変わることも選手たちに伝えました」

 ジュビロ磐田戦での黒星を経て臨んだ柏レイソル戦(5月3日)、果たして町田は連敗を阻止できるか。そこが個人的に気になるポイントだった。

  試合は9分、ホームの町田が先制。ゴール前で荒木駿太が丁寧に落としたボールをオ・セフンがダイレクトで左隅に蹴り込んだのだ。リードした以降も、奪ったボールを素早く縦に繋ぐサッカーを展開。確固たるスタイルを築けているのは、見栄えはさて置き、とてつもなく大きな強みである。
 
 柏に攻め込まれる場面はありながらも、ペースを握っているのは町田。前線の選手がプレスを剥がされても中盤の柴戸海らがそこの穴を埋める。全ての局面ではないが、次から次に人が湧き出てくる町田の守備は、相手からすれば憎たらしいほど巧妙かつ堅固だった。

 1-0で迎えた69分にはナ・サンホのシュート気味のクロスを荒木がヘッドで合わせて追加点。2-0とリードを広げた。

 中途半端な横パスを回すより縦に蹴り込む。相手のゴールに矢印が向いている点で理に適っているし、何よりJ1リーグの11節を終えて首位にいる事実が全てを物語る。

 結局、柏を2-0で下して連敗しなかった町田。とにかく負けを嫌う黒田監督の信念が、選手に、チームに、浸透しているからこそ掴み取れた勝点3と、そう言えるだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)


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