5月24日、長谷部誠が晴れやかな表情で現役引退会見に臨んだ。

 現在40歳の元日本代表キャプテンは、浦和レッズでプロキャリアをスタート。2007-08シーズン冬にヴォルフスブルクに加入して以降は、ニュルンベルク、アイントラハト・フランクフルトと活躍の場を変えながら、ブンデスリーガでプレーした。

 22年に及ぶキャリアにおいて、Jリーグとブンデスリーガをはじめ、アジア・チャンピオンズリーグ、天皇杯、ヨーロッパリーグ、DFBポカールなどあらゆる大会で優勝を経験。ブンデスリーガでの出場は384試合にのぼり、同リーグの外国人選手としては、元ペルー代表のクラウディオ・ピサロ氏(490試合)に次いで2位タイだ。日本代表としてはワールドカップ3大会を戦い、114キャップをマークした。

 日本サッカー史に名を刻むレジェンドは、「正直まだ実感はわかないです。頭では理解しようとしても、今すぐにでもボールを蹴りたいと疼いていて、身体が理解してくれない感覚があります。ただ、それで後悔しているかと言われれば、全くないです。大きな満足とともにキャリアを終えられます」と今の率直な想いを吐露。そのうえで、後悔なく終えられる理由を次のように語った。
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「自分で引退時期を決められたことはすごく大きかったです。フランクフルトが現役を辞める、続ける決断を僕に託してくれていたので、来シーズンもやろうと思えばやれたなかでも、良いタイミングを自分で決められました。クラブに非常に感謝しています。

 もう1つは、自分を1人のサッカー選手として客観視した時に、たくさん点を取れるわけでもなく、何かすごく目立つプレーをするわけでもなく、フィジカル的にすごいとか、何か抜きんでたものがあるわけではない。パーソナリティというか、人としても全く目立つわけでもなくて。見た目もおそらく20年間ぐらい同じ髪型をしているので(笑)。

 そういう選手がここまでのキャリアを築けて、タイトルもたくさん獲らせていただきましたし、これだけ長くプレーさせてもらって。これ以上のキャリアは、もう自分の能力の中では積めないんじゃないかなと。本当にMAXのMAXの評価をしてもらったし、自分自身もやりきったんじゃないかなと思っています。もう1回同じキャリアを積めるかと言ったら、正直積める気がしないです。だから本当に後悔はないです」

 また、プロキャリアの原点である浦和レッズへの熱い想いも口に。特にフランクフルトの一員として、ジャパンツアーで凱旋した際の出来事は鮮明に覚えているという。

「一番最初のクラブが浦和レッズだったのは非常に大きかったです。そして幸運でした。本当に大きなクラブで、日本一のサポーターがいて、キャラクターの濃い選手がたくさんいて、あの中でプロキャリアをスタートできて、多くのタイトルも獲れて...なので浦和での6年間は自分にとっては非常に大きかったですね。

 2022年に浦和レッズと埼スタで親善試合をして、試合後に1周グラウンドを回った時に、本当に多くのサポーターが浦和時代のユニホームを掲げてくれて。日本代表や、もちろんアイントラハトのユニホームを持ってくれている方もいましたけど、本当に多くの方が掲げてくれたあの瞬間は、自分にとって本当に忘れられない瞬間でしたね」

 フランクフルトに残り、指導者の道に進む長谷部。次の夢に向かって、新たな一歩を踏み出す。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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