チャンピオンズリーグ(CL)・準々決勝ファーストレグが10日に行われ、パリ・サンジェルマン(PSG/フランス)とバルセロナ(スペイン)が対戦した。


 今季のCLでドルトムント(ドイツ)、ミラン(イタリア)、ニューカッスル(イングランド)と同居する“死の組”のグループFに組み込まれたPSGは、最終的に2勝2分2敗で勝ち点「8」を積み上げると、ミランと勝ち点で並んだものの、当該チーム同士の得失点差で上回って2位通過。ラウンド16では久保建英擁するレアル・ソシエダと(スペイン)と対戦し、2戦合計4−1と力の差を見せつける。3シーズンぶりの準々決勝進出を決めていた。


 一方、グループHに入っていたバルセロナは、開幕3連勝を飾った後、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)、ロイヤル・アントワープ(ベルギー)相手には不覚を取ったものの、最終的に4勝2敗の勝ち点「12」を獲得。ポルト(ポルトガル)相手に2連勝を飾っていたことで、当該チーム間の成績で上回り、首位でグループステージを終えた。3シーズンぶりに進出した決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)では、ナポリ(イタリア)を2戦合計4−2で破り、2019−20シーズン以来、4シーズンぶりに準々決勝行きの切符を掴み取っていた。。


 ファーストレグをホームで戦うPSGのルイス・エンリケ監督は、最前線にウスマン・デンベレ、キリアン・エンバペ、マルコ・アセンシオの3枚を並べた「4−3−3」を採用し、自身の古巣であるアウェイチームから勝利を狙う。対するバルセロナは、3トップにラミン・ヤマル、ロベルト・レヴァンドフスキ、ハフィーニャを配置。負傷により出場が不透明となっていたフレンキー・デ・ヨングが先発に名を連ね、同じく欠場明けのペドリはベンチからのスタートとなっている。


 試合は立ち上がりから両チームが“らしさ”を見せ、ボールを保持しながら相手守備網の穴を探っていく。両者なかなか守備面で隙を見せることはなく、決定機と呼べるようなシーンは限られたなかで時計の針は進んだが、バルセロナは23分にミドルシュートで打開を図る。右サイドから細かくパスを繋いで中央まで持ち込むと、ペナルティエリア手前の位置で前を向いたハフィーニャが左足を振り抜いたが、ここはGKジャンルイジ・ドンナルンマに阻まれた。


 一方でPSGもエンバペも中心にゴールを脅かす場面を作る。28分には右サイドに流れてボールを引き出したエンバペが相手を引き付け、マイナス方向へ繋ぐと、ボックス右のスペースでフリーになったイ・ガンインが左足を振る。強烈な一撃が放たれたものの、GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンに難なく弾き出された。


 このままスコアレスで終盤に差し掛かったものの、37分にスコアが動く。バルセロナは最終ラインでボールを持ったパウ・クバルシが斜めのパスを差し込むと、降りてきてボールを引き出したレヴァンドフスキのポストプレーから一気に前進。レヴァンドフスキは前を向いてドリブルで持ち運び、右サイドへ展開すると、待っていたヤマルが時間をかけずに左足アウトサイドでクロスボールを供給。飛び出してきたGkドンナルンマがわずかに触り、ボールがファーサイドへ流れると、最後はハフィーニャが右足で蹴り込んだ。


 バルセロナが1点をリードしてハーフタイムに突入したものの、後半に入るとホームチームが反撃を開始する。まずは48分、敵陣でマルキーニョスがボールを奪ったところから、左サイドへボールを繋ぐと、デンベレからのスルーパスに反応したエンバペがボックス左深い位置で折り返しのボールを送る。ここはニアサイドでロナルド・アラウホに弾かれたものの、こぼれ球を拾ったデンベレが、切り返しから左足一閃。強烈な一撃を叩き込み、試合を振り出しに戻した。


 勢いに乗るPSGは続く51分、今度は右サイドから攻撃へ。後半頭からピッチに立ったブラッドリー・バルコラが相手を引き付けてスペースへ渡すと、イ・ガンインはマイナスへ落とす。前を向いてボールを受けたファビアン・ルイスがボックス右のスペースへスルーパスを送ると、斜めの動きで走り込んできたヴィティーニャがボールを引き取り、冷静に流し込む。後半立ち上がりの“奇襲”で、PSGが逆転に成功した。


 止まらないPSGは55分にも、カウンターの局面で、イ・ガンインからのスルーパスに抜け出したバルコラがクロスバー直撃の一撃を放つなど完全に主導権を握る。バルセロナとしては苦しい時間が続いたが、1点ビハインドのまま耐え凌ぐと、61分にはヤマル、セルジ・ロベルトを下げてジョアン・フェリックス、ペドリを投入。するとケガから戻ってきた若き天才が、早速存在感を放って見せる。直後の62分、敵陣中央で前を向くと、タイミングを見て浮き球のスルーパスを供給。抜け出したハフィーニャがダイレクトボレーで自身この日2点目を挙げ、バルセロナが同点に追い付いた。


 このゴールを機にバルセロナが試合の流れを引き寄せると、77分にはセットプレーから再びゴールをこじ開ける。イルカイ・ギュンドアンの蹴った左コーナーキックをアンドレアス・クリステンセンが頭で沈め、バルセロナが試合をひっくり返した。


 試合はこのままタイムアップ。PSGのホームで開催されたファーストレグは、アウェイチームのバルセロナの勝利に終わり、5シーズンぶりのベスト4入りへ一歩前進した。


 セカンドレグはおよそ1週間後の16日、バルセロナのホーム『エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス』にて開催される。


【スコア】

パリ・サンジェルマン 2−3 バルセロナ


【得点者】

0−1 37分 ハフィーニャ(バルセロナ)

1−1 48分 ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)

2−1 51分 ヴィティーニャ(パリ・サンジェルマン)

2−2 62分 ハフィーニャ(バルセロナ)

2−3 77分 アンドレアス・クリステンセン(バルセロナ)