いよいよ本格的な春到来。桜の開花やゴールデンウイークの大型連休などで外に飛び出したい季節。

でも、この時期どうしても気になるのが「花粉症」ではないでしょうか。


その花粉症について、北海道での事情を含めてアレルギー性鼻炎の専門家である北海道大学病院アレルギーセンターのセンター長、中丸裕爾(なかまる ゆうじ)先生にお話を伺いました。

そもそも「花粉症」とは?

花粉症をお持ちでない方は花粉が鼻の中に入っても、鼻水あるいはのどの方に嚥下して何の症状も起きません。

ところが花粉症の方、あるいは花粉症の素因をお持ちの方に花粉が鼻の中に入ると、その花粉に対して炎症が起こります。免疫が花粉をウイルスや細菌のように攻撃をする対象と判断して、炎症が生じる。

その炎症の結果としてくしゃみ、鼻水、鼻詰まりが出てくる訳です。

花粉症が初めて日本で報告されたのはおよそ60年前。比較的新しい疾患です。

その患者数は、北海道では20年余りの間に2倍を超えて、実に4人に1人以上が発症したというデータがあります。

「花粉症」になるのは何故?

まだ花粉症、どうしてなるのか、細かい所までは分かってないんです。

一つの説としては、近年の「衛生事情」が関係しているものがあります。

昔は小さい頃に沢山の細菌に曝露されて免疫が鍛えられたものですが、近年のきれいなお部屋の中ではそれが起きないため、それが花粉症につながっているという説。

もう一つの説は「腸内細菌」に関するものです。

近年では昔に比べて食生活が変化し、また抗生物質を沢山使うようになって免疫に関係の深い腸内細菌叢が変わってきたという説。これも大きく支持されるひとつの説です。

北海道での花粉症の特徴は?

本州ではスギがメインですが、北海道で異なる花粉が原因となるのが特徴です。

札幌ではシラカバがメインで、道東では牧草をはじめとしたイネ科の花粉がメイン。イネ科の花粉症の場合、発症のピークは6月〜7月にかけての初夏になります。

函館など道南地方ではスギの花粉が多く飛散するので、それぞれの地域にどの草花あるいは樹木が生えているかによって花粉症の種類というのも大きく変わってきます。

花粉症を克服するには、どうしたらいい?

花粉症対策ですが、いろいろな事が最近分かって参りました。

症状を重篤にしないポイントは、花粉症の症状が少しでも出たら、その時点から薬を使い始める、ということです。

"もったいないので症状が重くなるまで薬を使わないでがんばる"という患者さんも結構いらっしゃるのですが、花粉症が重篤になってからお薬を使ってもあまり効果は芳しくないことがわかっています。

症状が軽い段階で薬を使い始めることで、その花粉シーズンをずっと楽に過ごせるという事が分かってきました。

「そろそろ来たな」と思ったら医療機関に行き、薬をもらうというのが症状を悪化させないおすすめの治療という事になります。

また、花粉が鼻の中に入らなければ花粉症は発症しません。

ですので、マスクや鼻の中を「鼻うがいで」洗っていただくというのも有効な予防策です。