片岡仁左衛門が、7月3日(水)〜26日(金)に大阪松竹座にて上演される関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年記念『七月大歌舞伎』の取材会に出席した。オフィシャルレポートが到着したので紹介する。

『七月大歌舞伎』で「義経千本桜」の権太を勤める仁左衛門は、上方の型に対してどのような解釈や工夫をされてきたのか問われると「関西の型、江戸の型と言いますが、役者に準ずるところも大きいので、関西の中だけでもいろんな型があります。私は父から学んだものを元に工夫しています。「すし屋」の場合は、初演以降は必ず「木の実」「小金吾討死」も合わせて上演し、権太自身の家庭、親子の情愛をアピールすることを大前提としています。また分かりやすく明瞭なせりふに書き換えています。役者はあれもこれも伝えたいとなりがちですが、それだと折角の訴えたいことがかえってぼやけてしまうので、私は単刀直入に核に触れていくようにしています。歌舞伎の場合は、関西、江戸とそれぞれの表現の特徴がありますが、文楽さんの要素も取り入れることで新たな発見があります。「これで良し」というものは見つからないものですから、常に考えて気づきを得ていますし、今後もそれは変わらないと思います。演技がうまくても心が伝わらなければいけないし、技法ばかりが先行してはいけないと思っています」。

片岡仁左衛門 (c)松竹

片岡仁左衛門 (c)松竹

また本年、関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年記念となることについて、「夏に大阪で芝居ができることはとても嬉しいです。芝居ができなかった、できてもお客様は半分という時代を知っていますから、お客さまと俳優がともに育ってきた四十五年間だったと感じます。最近の大阪松竹座の『七月大歌舞伎』は多くの方が来てくださるので安心して芝居ができます。なお一層頑張って、次の五十周年も元気に出られるようにしたいです」。

最後に今後次世代につなぎたい、伝えていきたいことを問われ、「狂言やお役についてではなく、役の捉え方、表現の仕方をしっかり伝えていきたいです。それが伝わるとどの狂言でも大丈夫になる。型は大事ですが、その型がなぜ生まれたのか、なぜこの型になったのかという基本をつかまないと張りぼてになってしまいますので」と熱く話した。

『七月大歌舞伎』は7月3日(水)〜26日(金)に大阪松竹座にて上演。チケットは5月20日(月)10:00からイープラスにてプレオーダー受付開始。