将棋の伊藤匠七段(21)が12日、東京・将棋会館でB級2組順位戦の1回戦に臨み、午後9時57分、横山泰明七段(43)に101手で勝利した。20日、山梨県甲府市「常磐ホテル」で臨む大一番、第9期叡王戦5番勝負第5局への弾みとした。

 叡王戦は現在、藤井聡太叡王(21)=王将など8冠=に挑み、2勝2敗のタイ。勝てば昨年度竜王戦、棋王戦で敗れた同学年の藤井から初タイトルを奪う。

 先後はあらかじめ伊藤の先手に決まっており、戦型は相掛かりへ進んだ。伊藤は得意の角換わりを志向して9手目、角を3段目へ上がったが横山が角道を開けず端歩を突いたため、雁木(がんぎ)模様の駒組みを進めた。

 その伊藤角を狙って横山が右桂を5段目へ跳ね出すと、伊藤はその角を逃げず、7筋の歩を何も取らずに成った。角桂交換の駒損だが、と金を作って攻めの拠点作りに成功した。さらに入手した桂を角金両取りに放ち、金と交換して攻勢を強めた。

 今月5日、岡部怜央四段(25)に屈したスポーツニッポン新聞社主催・ALSOK杯王将戦1次予選まで3連敗中だったが、悪い流れは断ち切った。B級2組への昇級初戦。これで、大一番へ全力投球できる。