大阪のスポーツ強豪校・履正社高(豊中市=松本透校長)が5日、新設するラグビー部に作田敏哉ヘッドコーチ(48)が就任したことを発表した。

 作田HCは就任会見で「ラグビーを通じて社会貢献や人のために頑張れる子供たちを後押ししたい。その課程として高校ラグビーの頂点を目指したい」と話した。作田HCは千葉県出身で東京・本郷高ではフッカーとして2年、3年時に花園の全国大会に出場して8強入り。関東学院大では4年時に全国選手権制覇した。日本IBMで社会人リーグ(後のトップリーグ)でプレーし、2014年に退職。大体大、法大の専属コーチを務め、直近では埼玉・川越東高をFWコーチとして花園に連れてきており、日本ラグビー協会S級コーチのライセンスを持つ。

 就任会見では恩師の元関東学院大学ラグビー部監督の春口廣氏から「作田さん、ヘッドコーチ就任おめでとう私の関東学院大の教え子たちは色々なところでコーチをやっているから、みんなでつながれると思うし、ぜひ素晴らしいチームをつくって欲しい。応援しています」との祝電も届いた。作田HCも感激ひとしおだったが、同期で大学選手権を制した時の箕内拓郎氏(元日本代表主将)からも「早速連絡があって『何かできれば』と言ってもらえた」と話す。心強い援軍の存在に笑顔を見せた。

 「やるからには1年目から頂点を目指す」と話した作田HCだが、箕面市の人工芝専用グラウンドにはゴールポストが立っていない。会見にラグビーボールの用意もなかった。ジャージーも「履正社カラーの(濃い)ブルーで」と考えているがイメージの段階。ゼロから…よりもマイナスからのスタートだから当面は来年度に入部する選手のスカウティングが重要任務になる。「学校にウイニングカルチャーがある」と作田HC。強豪の他部の存在が新しいラグビー部をアピールするには有利に働く可能性は高い。

 新HC公募には日本ばかりではなく韓国、オーストラリア、サモアからの41人の応募があった。中には「『3年で花園出場』を掲げた方もいた」(釜谷広報企画局局長)が、作田HCを選んだのは社会福祉士として児童養護施設や障害者グループホームで汗を流す人柄を教育の場で行かせること。「この募集を聞いた時、天から授かったようなズバッと電気が走ったような感覚があって。これこそ私がやるべきことだ」という天命を語った情熱に他ならない。

 ▽大阪の高校ラグビー事情 全国有数の激戦区で花園で行われる冬の全国大会には第3代表まで出場する。昨年度は大阪桐蔭(ベスト4)東海大大阪仰星(8強)初出場の関大北陽が初戦の2回戦で敗れた。大阪勢の花園優勝回数は常翔啓光学園の7度が最高で東海大大阪仰星が6度、常翔学園が5度で続く。3月に行われた選抜大会では大阪桐蔭が優勝。東海大大阪仰星、常翔学園に加えて興国が実行委員会推薦枠で出場した。

 ▽履正社高とスポーツ 野球部は19年夏の甲子園を井上広大(阪神)を擁して全国制覇。侍ジャパンの一員として世界一を達成した山田哲人(ヤクルト)を始め、T―岡田(オリックス)坂本誠志郎(阪神)らを輩出している。サッカー部も日本代表経験のあるFW林大地(ドイツ2部・ニュルンベルク)とFW町野修斗(ドイツ2部・ホルシュタイン・キール)を育てた。陸上部ではパリ五輪競歩代表が決定的な浜西諒(サンベルクス)がOBだ。