◇パ・リーグ ソフトバンク2−1西武(2024年4月27日 みずほペイペイD)

 首位・ソフトバンクは27日、今季初のサヨナラ勝ちを収めた。1―1の延長10回に川瀬晃内野手(26)がプロ9年目で自身初めてのサヨナラ打。本拠地が「みずほペイペイドーム」と改称されて迎えた初戦を劇的勝利で飾った。チームは今季4度目の延長戦で初勝利。今季2度目の4連勝とし、貯金を最多の9とした。

 仲間たちから手荒な祝福を受け、あまりの勢いにグランドに倒れ込んだ。1軍では記憶にない感覚。川瀬は感慨に浸りながら劇的な幕切れを振り返った。

 「いつも出迎えるタイプだったので。熱くギータ(柳田)さんに抱擁してもらって、体の大きい方たちも走ってきて。こんな気分なんだなと」

 1―1の延長10回1死一、三塁。8回に代走で途中出場した川瀬の初打席だった。直前に柳田が申告敬遠で歩いたが、川瀬は冷静だった。「三塁走者は(周東)佑京さんなので前に飛ばせば何かある。意外と冷静。周りが見えてるなと思ってました」。増田の直球を捉えると右中間への当たりに前進守備だった外野は追いつけない。プロ9年目で初のサヨナラ打となった。

 今季出場15試合目で4月5日の楽天戦以来の安打、今季初打点だった。スタメンは1度だけと出番は限られているが、常にスタンバイはできている。「レギュラーで出たい気持ちはあるけど、途中にも役割がある。どの立場でも準備するのがプロ」と自分に言い聞かせている。

 ベンチには見習うべき存在がある。今季代打での出場が多い中村晃だ。「声をかけられないくらい準備しているので、何をやっているかを横目で見ている」。尊敬する先輩は0―1の7回2死二塁で苦戦した今井から同点打を放った。川瀬晃(ひかる)と中村晃(あきら)。読みこそ違うが、名前は同じ「晃」の両選手の活躍が今季初のサヨナラ勝ちを呼んだ。

 2分け1敗だった延長戦を制し、今季2度目の4連勝とした。小久保監督は「今井から点が取れない中、職人(中村晃)がしっかり仕事をして最後の最後でヒカルが決めてくれた」と称えた。さらに指揮官は川瀬について「目が合った瞬間にプレーできる準備をしている。もの凄く心強いし、そんな選手が多くいることが勝ちにつながる」と信頼を口にした。

 本拠地が「みずほペイペイドーム」となった初戦に快勝。「みずほさんは(口座を)持っていないので、今すぐ開設しようと思います」と川瀬。チームの貯金も今季最多9と増えた。 (井上 満夫)

 《7回に代打で登場した中村晃が同点打》中村晃が値千金の一打を放った。0―1の7回、2死二塁の場面で代打で登場。今井から同点に追いつく右前適時打を放った。「大事な場面で何とかしたいという気持ちだけでした。起用に結果で応えることができて良かったです」とホッとした表情を浮かべた。小久保監督は「晃は誰にでも出せる代打ですから。普通に出しておけば140本くらいヒットを打てる選手をベンチに置いているわけですから」と全幅の信頼を口にした。