野球という文化を未来へと引き継ぐため、これまでも、そして現在も多くの人間が多種多様な活動を行っている。ヤクルト、日本ハムなどでプレーし、侍ジャパンで大谷翔平(ドジャース)とチームメートになったこともある秋吉亮氏(35)は、今年から都内の小学校で講演会や野球指導を行うなど、裾野拡大に向けて尽力している。

 きっかけとなったのが「大谷グラブ」だ。現在はグラウンドでの一挙手一投足が子供たちに夢を与えている世界的な大スターは、昨年末から全国の小学校約2万校に対し、各3個(右投げ用2、左投げ用1)のグラブをプレゼント。昨春のWBC優勝、その後のエンゼルスでのシーズンでは自身2度目のMVPを獲得したこともあり、超太っ腹の夢プランは話題を呼んだ。

 都内の小学校はグラウンドが狭く、キャッチボールが禁止されていたり、そもそもボール自体がない学校も多い。東京都出身の秋吉氏は4月30日に港区立本村小学校を訪問。6年生の66人に講演を行った。小学校時代は補欠だったという自身の経験なども交えて「諦めずにやってみることが大事」などと語りかけ、その後のキャッチボール指導では児童全員が順番に「大谷グラブ」を使用。初めてグラブを使う子供もいたが、誰もが笑顔になった。

 「一人でも多く、野球をやってもらえたら。そんな思いは僕も大谷君も同じだと思います。今は都内での活動が多いけど、プロの選手や僕のようなプロ経験者とふれあうことが少ない地方の小学校にも行ってみたいです」と秋吉氏。50年後、100年後も野球が人々を幸せにしていることを願っている。

 ※講演会の依頼などは株式会社「PACE Tokyo」(playball@pacetokyo.com)まで。