初挑戦のJ1で首位に立つ町田は9日、11日のアウェー湘南戦を前に非公開練習を行った。取材に応じた黒田剛監督は、主力メンバーが戻り一気に激化したFW陣の競争にうれしい悲鳴を上げた。

 12試合を終え8勝1分け3敗の勝ち点25、昨季王者の2位神戸に2差をつけて堂々の首位。3―0で完勝した前節の京都戦は「豪華すぎるベンチ」が話題を呼んだ。U―23アジア杯カタール大会から帰国した平河悠と藤尾翔太、昨季J2MVPで長期離脱から復活したエリキ、さらにオーストラリア代表ミッチェル・デュークと、J2優勝に大きく貢献した昨季の主力が後半から続々と登場した。そのデュークと先発メンバーのオ・セフンとナ・サンホの韓国籍コンビが得点を挙げ、荒木駿太や藤本一輝も好調を維持している。

 ここまで戦力のやりくりに頭を相当悩ませてきたという黒田監督は「待ちに待った状況なんだけど、すごく困っている」と苦笑い。「ここまで使った選手を外す理由がなかったり、外国人枠の問題も出てきた。ないものねだりで申し訳ないけど、いい悩みを抱えている、やっとその悩みを抱えられるようになった」と正直な心境を明かした。

 今後の選手起用のポイントとして、黒田監督は「ギラギラ感」を挙げた。「オレは練習中はコーチに任せてほぼ話さないけど、観察だけは相当しているぞと選手に伝えている。ギラギラとメンバーに入ってやろうという奴の姿勢は全部評価として頭の中に細かく残るし、記録もしている」と強調する。

 「自分で頑張ったつもりでも、評価は必ず他人がするもの。何かの訴えができなければ入ってこられないし、選ばれなければそれに値しなかったと自覚できるようにしていく」。たとえ勝利に貢献できても、要所で一瞬でも気を抜けばベンチ入りの保証すらない。激しい競争原理が、町田の快進撃を支えている。