美人勝負師の最終結論
熊江琉衣〜ヴィクトリアマイル編


ヴィクトリアマイルの予想をしてくれた熊江琉衣さん。photo by Imaizumi Kakeru

 前回スポルティーバで予想させてもらったGI皐月賞では、3着までに入った馬すべてに印をつけていたのですが、馬券の買い方がハマらず、的中とはなりませんでした。今週のGIヴィクトリアマイル(5月12日/東京・芝1600m)では、その雪辱を果たしたいと思っています!

 本命は、マスクトディーヴァです。

 昨年のGI秋華賞(京都・芝2000m)では、勝ったリバティアイランドに1馬身差の2着。牝馬三冠を達成したライバルに迫る姿を見て、この馬の実力の高さを感じました。

 前走のGII阪神牝馬S(4月6日/阪神・芝1600m)の勝ち方もよかったですよね。ジョアン・モレイラ騎手が騎乗し、4番手から抜け出して、上がり3ハロンを33秒0でまとめる隙のないレースぶり。初めて前目につける競馬をして、しかも結果を出せたことは、この馬にとって、大きな収穫になったことでしょう。

 個人的には、今年のヴィクトリアマイルは先行馬に展開が向くと見ています。となれば、前走の競馬が生きてくるはず。モレイラ騎手とのコンビ継続も、かなりのプラス材料だと思います。

 ちなみに、阪神牝馬Sのレース後、今回も出走する2着ウンブライルに騎乗していた川田将雅騎手が、「勝ち馬(マスクトディーヴァ)は着差以上に強かった」とコメント。各競走馬について正当な評価を下す川田騎手が、そう語るほどの実力ですから、ここでも外せません。

 対抗は、ナミュールです。

 昨秋のGⅠマイルCS(京都・芝1600m)を勝って、その後も海外GIの香港マイル(12月10日/香港・芝1600m)で3着、ドバイターフ(3月30日/UAE・芝1800m)で2着と奮闘。その実績は文句なしですよね。こうした結果を含め、これまでに戦ってきた相手を見ても、このメンバーでは間違いなく実力上位だと思います。

 鞍上の武豊騎手とは初コンビになりますが、レジェンドの手腕に衰えは見られません。今春も重賞で好騎乗を見せていますから、むしろプラスに働くのではないでしょうか。

 心配なのは、"海外帰り"初戦ということ。実績と実力的には最上位だと思いますが、その点を考慮して、対抗にとどめました。

 悩んだ▲は、コンクシェルにしました。

 理由は血統面です。過去10年のヴィクトリアマイルで馬券圏内(3着以内)に入った30頭のうち、ディープインパクト系の産駒が13頭。これは、相当な好相性ですよね。

 そして、同馬もディープ系のキズナ産駒。昨年の勝ち馬ソングライン、一昨年の2着馬ファインルージュも同じキズナ産駒でしたし、血統的な追い風を鑑みて上位に抜擢しました。

 斤量が増えるのは少し心配ですが、馬体重が470kg前後と小柄な馬ではないので、そこまで堪えないはず。スムーズに先行できれば、上位に食い込んでもおかしくありません。

 △は、手広く3頭につけました。ウンブライル、スタニングローズ、フィアスプライドです。

 先にも触れましたが、ウンブライルは前走の阪神牝馬Sでマスクトディーヴァの2着と好走しています。昨年のGINHKマイルC(東京・芝1600m)でも2着に入って、同じ舞台の今回はチャンス。関東馬で長距離輸送がない点も好材料ではないでしょうか。

 スタニングローズは、2022年のGI秋華賞(阪神・芝2000m)を制覇。その能力は疑いようがありません。およそ10カ月半ぶりの実戦となった前走のGI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)では8着に敗れましたが、勝ち馬とはコンマ5秒差。内容は決して悪くなかったと思います。マイル戦への懸念は若干ありますが、長期休養明けを叩いての、さらなる躍進が期待されます。

 フィアスプライドは、ヴィクトリアマイルに強いディープ産駒。戦列復帰を果たした名手、クリストフ・ルメール騎手が乗るのもプラス要素です。前からも、後ろからも運べるタイプですが、今回は先行有利と見ているので、願わくは2走前のGIIIターコイズS(中山・芝1600m)のときのように、好位から抜け出す競馬を見せてくれたら、と思っています。

 最後に、特注馬(☆)としてフィールシンパシーを挙げたいです。この馬に着目したきっかけは、鞍上の横山琉人騎手の名前に、私と同じ「琉」の文字が入っていたこと(笑)。ですが、同馬の戦績をよくよく見ると、穴馬としては最適な存在だと思いました。

 東京のマイル戦での勝ち星(3勝クラス・紅葉S/2023年10月28日)もありますし、そのときの勝ちタイムも1分31秒9と優秀。前につける積極的な競馬を得意にしていて、私が予想する先行有利の流れになれば、面白そうな存在。大駆けがあっても......。

 馬券の買い方はレース直前まで悩むと思いますが、現状では本命のマスクトディーヴァを軸にした3連複を中心に考えています。そのほか、オッズを見ながらマスクトディーヴァからの馬連も何点か抑えたいな、と思っています。

著者:河合 力●取材・構成 text by Kawai chikara