6月23日(日)、京都競馬場で3歳以上馬によるGⅠ宝塚記念(芝2200m)が行なわれる。

 今年は阪神競馬場の改修工事のため、18年ぶりに京都競馬場での開催となる。とはいえ、同じ右回りで距離も変わらないため、今回も過去の血統的傾向からこのレースを占っていきたい。

 直近2年の勝ち馬の血統を見てみよう。2022年の勝ち馬タイトルホルダーは「父ドゥラメンテ・母の父モティヴェイター」、2023年の勝ち馬イクイノックスは「父キタサンブラック・母の父キングヘイロー」という血統。今年のレースに出走を予定している馬を見ると、ソールオリエンス(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)は「父キタサンブラック・母の父モティヴェイター」と、2頭の血統を足して2で割ったような血統だ。


昨年に皐月賞を制したソールオリエンス photo by Sankei Visual

 父キタサンブラックは2016、17年の宝塚記念に出走し、3着、9着という成績だったが、芝2200mではGⅡセントライト記念(中山)を勝利。産駒も、イクイノックスが宝塚記念を勝利したほか、ガイアフォースがセントライト記念を勝つなど、芝2200mで46戦7勝、勝率15.2%という好成績を残している。「京都・芝2200m」に絞ると6走と出走数は少ないが、先週の3勝クラス・保津峡Sでブラックブロッサムが勝利している。

 母の父モティヴェイターは日本で出走した16頭のなかから、タイトルホルダー、ヴァンドギャルド、メロディーレーン、ステラリア、ソールオリエンスと、5頭のオープン馬を含む10頭の勝ち馬を出している。芝2200mのGⅠでは、ステラリアがエリザベス女王杯(阪神)で7番人気2着に入っている。

 ソールオリエンス自身は、芝2200mではセントライト記念で2着。勝利した重賞はともに中山・芝2000mのGⅠ皐月賞とGⅢ京成杯で、芝2400mのGⅠ日本ダービー(東京)もタイム差なしの2着と、前後の距離で強い競馬を見せており、芝2200mも"守備範囲内"と言える。

 今年はGⅡ中山記念(中山・芝1800m)4着、GⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)7着といい結果は出ていないが、中山記念はハイペースに戸惑い、大阪杯もいつもより早めの競馬が合わなかったようだ。勝った皐月賞は、4コーナー17番手からの鮮やかな追い込み勝ちであり、この馬の真骨頂は差し脚にある。展開に左右される面はあるが、ハマれば突き抜ける破壊力の持ち主だ。今週末は雨模様の予想もあり、重馬場で快勝した皐月賞の再現も期待できる。

 もう1頭は、ヒートオンビート(牡7歳、栗東・友道康夫厩舎)を推す。

 この馬のポイントは祖母の父マルジュで、同馬は2017年の勝ち馬サトノクラウンの父。また、マルジュの父ラストタイクーンの父系からは、2001年の勝ち馬メイショウドトウ(父ビッグストーン)も出ていて、この血筋は宝塚記念と好相性だ。ヒートオンビートはこのラストタイクーンの血を3×4でクロスしている。

 父キングカメハメハの産駒は2015年ラブリーデイ、2018年ミッキーロケットと宝塚記念で2勝。2022年の勝ち馬タイトルホルダーの父、ドゥラメンテもキングカメハメハ産駒なので、父系も好相性と言える。ヒートオンビート自身、母マルセリーナがGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)馬という良血馬だ。

 ヒートオンビートは昨年、芝2500mのGⅡ目黒記念(東京)を勝っているが、芝2000mでもGⅢ七夕賞(福島)など重賞で2度の2着があるように、幅広い距離で実績がある。芝2200mは中京の準オープン、京都の2勝クラスで勝利しており、距離、コースともに相性のよさを見せている。7歳となり近走は冴えないが、激走の可能性は十分だ。

 以上、今年の宝塚記念はキタサンブラック産駒ソールオリエンス、キングカメハメハ産駒ヒートオンビートに期待する。

著者:平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki