清涼飲料業界をけん引する日本コカ・コーラとサントリー食品インターナショナルは、ペットボトルを分別する大切さを広く知ってもらうため、2024年も啓発活動で協業する。2023年は広島サミット開催に合わせて、啓発ポスターの展開を協業で行っていた。今年はサッカースタジアムで分別の啓発イベントをそれぞれ実施する。

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清涼飲料市場ではライバルの両社だが、「ボトルtoボトル」水平リサイクル(※)の認知拡大に向けて協業する。「外でも分別」を共通テーマに、日本コカ・コーラは浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)と6月30日に、サントリーは鹿島アントラーズと7月6日に、それぞれのホームスタジアムでペットボトルの分別啓発イベントを行う。

※水平リサイクル=使用済み製品を原料として用いて同一種類の製品につくりかえるリサイクルのこと。

今回の企画は、コカ・コーラボトラーズジャパンと浦和レッズ、サントリーと鹿島アントラーズがそれぞれ「ボトルtoボトル」水平リサイクルに取り組んでいることから実現したという。

分別啓発イベントを通して、ペットボトルが新たなペットボトルに生まれ変わる「ボトルtoボトル」水平リサイクルについて知ってもらい、これまで以上に家庭の外でもきれいな分別を行うきっかけにしてもらうねらい。各イベントで回収したペットボトルは水平リサイクルし、それぞれサントリー、日本コカ・コーラ製品の容器として使用する。

共通テーマを「外でも分別」としたのは、家庭から出されるペットボトルは、ラベルがはがされ、中もきれいな状態のものが多いが、家庭外の自販機横のリサイクルボックスなどに入れられるペットボトルは、飲み残しなど異物が入っているケースが多く、リサイクルする上で課題になっているためだ。

協業内容は2つあり、サッカースタジアムにおいて2社共通の「ボトルtoボトル啓発メッセージ」を訴求することと、2社それぞれのペットボトル分別啓発イベントを実施するというもの。

コカ・コーラは6月30日、浦和レッズVSジュビロ磐田の試合が行われる埼玉スタジアム2002(埼玉県さいたま市)で実施する。飲み終わったペットボトルを持参すると、「ボトルtoボトル」を楽しく学べる、オリジナルのゲームを体験できる。体験者には100%リサイクルPETの「コカ・コーラ」500mlを1本プレゼントする。

日本コカ・コーラ・浦和レッズ オリジナルゲーム体験イメージ

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サントリー食品は7月6日、鹿島アントラーズVS北海道コンサドーレ札幌の試合が行われる県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)で実施する。飲み終わったペットボトルを持参し、“ペットボトルポスト”に分別して投函した人に、全数100%リサイクルペットボトル使用の「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」600mlを1本プレゼントする。

サントリー・鹿島アントラーズ ペットボトルポスト展開イメージ

2社はこれまでもそれぞれで「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進してきた。だが、さらなる「ボトルtoボトル」比率の向上のためには、「ペットボトルは資源」であるという認知の向上と、消費者をはじめとした関係する人々の理解、リサイクルに向けたペットボトル分別の協力が不可欠との認識で一致し、2023年から啓発コミュニケーションで協業を開始した。

2023年に展開した「ボトルtoボトル」啓発広告

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今後も各社の製品において、リサイクルPET樹脂の使用を推進するとともに、さまざまなコミュニケーション活動を通じて、「ボトルtoボトル」水平リサイクル、そして「家庭外でのペットボトル分別」の普及・定着を図っていく考えだ。

〈ペットボトルの再資源化の仕組みが整う日本は適切に回収すれば循環利用が可能〉

今回の2社の協業の背景には、日本国内で再資源化の仕組みが整っているペットボトルは、適切に回収すれば資源として何度も循環利用が可能で、ペットボトルに再生することで新規資源の使用削減と容器由来の廃棄物削減に貢献できるためだという。

また、CO2排出量の面でも、現時点での主なリサイクル手法であるメカニカルリサイクルによるPET樹脂のみを使用した「100%リサイクルペットボトル」は、新規に石油由来原料(化石由来原料)を使用して製造したペットボトルと比較して約60%削減できるとしている。

なお、日本国内におけるペットボトルの回収率は94.4%で、リサイクル率は86.9%(2022年度、PETボトルリサイクル推進協議会調べ)。これは、米国(リサイクル率18.0%。2020年度)や欧州(同42.7%。2021年度)と比較して非常に高い水準にある。

一方で、回収されたペットボトルが再び新しいペットボトルにリサイクルされる「ボトルtoボトル」比率は年々高まり、29.0%(2022年度)まで増えている。業界団体の全国清涼飲料連合会は2021年に、業界として2030年までに「ボトルtoボトル」比率50%を目指すと宣言しており、日本コカ・コーラとサントリーが業界を牽引する状況になっている。