春の訪れとともに、豊かな栄養が詰まった春野菜が店頭に並びます。春野菜はその旬のおいしさだけでなく、健康への効果もさまざまです。この記事では、ママやパパが日々の食事に取り入れたい春野菜の栄養素や子どもも食べやすくする工夫について管理栄養士がお伝えします。

旬の食材がよい理由


食材に合った生育環境で育てられ大量に収穫でき、味がもっともよいとされるのが旬。旬には他の時期よりも栄養価が高い食材が多いのが特徴です。ビタミンやミネラルなどが豊富で、その食材の栄養価を最大限に引き出せます。(※1)旬の食材を取り入れることで、手間をかけなくても栄養価の高い食事になり、健康的な生活を送る手助けとなります。

春野菜の特徴


春野菜には肝臓の解毒作用を助ける苦み成分である「植物性アルカロイド」が多く含まれており、老廃物の排出や新陳代謝の促進に役立ちます。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれており、疲労回復や新陳代謝の促進、腸内環境の改善にも効果的です。(※2)

春野菜別の栄養素と調理のポイント


栄養豊富な春野菜ですが、子どもには独特の風味や味が食べにくいと感じる場合もあるでしょう。それぞれの特徴を知り、食材に合った工夫をすると子どもも食べやすくなり、家族全員が健康的な食事を楽しむことができます。

菜の花

菜の花は花がつぼみの状態で食べるのがほとんどで、肌の弾力に関わるビタミンCや健やかな生育に欠かせない葉酸、疲れにくいからだを作る鉄などの栄養素を豊富に含む食材です。また、健康的な肌を保つのに役立つカロテンも含みます。(※3)(※4)(※5)

茹でた後に水にさらして絞ることで、気になる苦味を和らげられます。また、苦みは油と一緒だと感じにくくなる性質があるため、白和えや炒め物などの調理法なら、子どもも食べやすいでしょう。

たけのこ

腸内環境改善を助ける食物繊維や、利尿作用のあるカリウムを含むたけのこは、デトックス食材ともいえます。(※3)(※4)(※6)(※7)水煮であれば心配ありませんが、生のたけのこを使う際は生食はせず、必ずあく抜きをしてから調理しましょう。

炊き込みご飯や天ぷら、煮物など食感を楽しめるような料理にすると、子どもも喜ぶ一品になります。

新たまねぎ

新たまねぎの辛み成分である硫化アリルはビタミンB1の吸収を助けるため、疲労回復効果が期待できます。また、活性酸素のダメージから細胞を守る抗酸化作用のあるケルセチンも含んでいます。(※8)その他にもビタミン類が含まれ、代謝をスムーズにおこなうのに役立つ栄養素を多く含んだ食材です。(※3)

新玉ねぎは収穫後すぐに出荷されるため、辛みが少なく加熱調理はもちろん、生のままでもおいしく食べられます。辛みが気になる場合はスライスした新玉ねぎをザルに広げ、空気にさらすことで辛み成分を揮発させられるので食べやすくなるでしょう。

グリーンピース

グリーンピースにはむくみ解消に役立つカリウム、美髪に欠かせない亜鉛、腸内環境改善を助ける食物繊維が含まれています。(※3)(※4)(※8)

冷凍や水煮のグリーンピースとは味わいも風味も違うので、ぜひこの時期に生のグリーンピースを食べてみてください。加熱後も鮮やかな緑色を保つため、料理の彩りにも重宝します。卵とじやポタージュなどに入れると、子どもも喜ぶメニューにアレンジできます。

春野菜で健康な食生活を


春野菜は豊富な栄養素を含んでおり、子どもから大人までの幅広い世代にとって健康によい食材です。旬の食材を上手に活用して、家族みんなで美味しく健康的な食生活を送りましょう。

<参考文献>
※1 独立行政法人農畜産業振興機構「野菜の旬と栄養価〜旬を知り、豊かな食卓を〜」月報 野菜情報2008年11月
※2 一般社団法人日本予防医学協会「健康づくりかわら版」春野菜でデトックス
※3 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※4 消費者庁「栄養成分表示及び栄養強調表示とは」
※5 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」ビタミンAの働きと1日の摂取量
※6 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」食物繊維の働きと1日の摂取量
※7 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」カリウムの働きと1日の摂取量
※8 独立行政法人農畜産業振興機構「春野菜の効能について」

PROFILE


あんしん漢方 管理栄養士
小原水月(おはらみづき)

管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善/増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれる食スタイルを発信中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。