宮城県の気仙沼市魚市場ではマダイが豊漁で、水揚げ量は、去年の同じ時期の30倍を超えています。マダイは四国や九州で水揚げが多い魚で、水産試験場では、海水温が高くなっていることが影響しているとみています。

5月20日、早朝の気仙沼市魚市場。水揚げされた魚の中で、ひと際目立つ朱色の魚体、天然のマダイです。三陸沿岸の漁場で定置網に掛かりました。この日は、496キロが水揚げされていました。

TBC

マダイは、もともとこの時期は四国や九州地方で多く水揚げされている高級魚です。

買受人のカネト水産 佐々木利重社長

買受人のカネト水産 佐々木利重社長:
「今までも取れてはいたが、(漁場)が全体的に北に上がっている印象がある」

気仙沼市魚市場で今年のマダイの水揚げ量は、4月末現在で5トンを超えていて、去年の同じ時期のおよそ30倍にもなります。ただ、地元では、カツオ、サンマ、マグロほどの人気はない魚だけに、漁業者はとまどっています。

TBC

気仙沼漁協 臼井靖参事:
「全国的に獲れる時期、漁種、量が不安定な状況になっている。その年によって変わってきているので、状況に応じた対応が必要になってくるのでは」

気仙沼漁協 臼井靖参事

マダイの水揚げ量が激増していることについて、水産試験場では、海水温が高いためとみています。

気仙沼水産試験場 柴久喜光郎総括研究員:
「30年来の平均と比較すると今年に入ってから3度から7度(海水温が)高い状態です。10℃を切らない水温が続いている。春期に宮城県の沖合を南下する親潮が南下せずに、逆に暖かい黒潮系の暖水が北上して、いま宮城県は年明けから暖かい水に覆われている」

気仙沼水産試験場 柴久喜光郎総括研究員

地球温暖化の影響で、今後も海水温の高い傾向が続く状況にあるだけに、新たに増えてきた魚種に柔軟に対応していくことが求められそうです。