『舞台 PSYCHO- PASS サイコパス Virtue and Vice 3』が開幕、シリーズ、いよいよ最終章。

『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』シリーズは、フジテレビ“ノイタミナ”アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」を原作にした、オリジナルキャラクターたちによるオリジナルスピンオフストーリーで、2019 年に第一弾、2020 年に第二弾を上演。公安局刑事課三係を舞台に、オリジナルキャラクターたちによるストレートプレイ作品。
九泉晴人(鈴木拡樹)は休職していた。カウンセリングを受けていたが復帰。公安局刑事課三係は海堂自我(和田雅成)が監視官としてまとめている。開演5分前を切ったあたりから、九泉晴人が舞台上に登場するので、トイレなどは早めに済ませて席に着くことをお勧め。コーヒーカップを手にし、ゆっくりと座席を見渡す、それからタバコに火をつけて燻らす、いつの間にか、作品世界が始まる。 カウンセラーの林崎仁哉(多和田任益)が登場、少し怪しげな空気感を湛える。

オープニングの後、公安局刑事課三係の”日常の光景”、何かが起これば、すぐに戦闘モードに入る面々だが、そうでない時は気のいい”奴ら”、ここはちょっと笑えたりするシーン。

だが、そういう時間は短い、学者殺しの事件の捜査を行うことになる。記憶のおぼつかない九泉晴人、物語は第一弾の続き、となっているので、2019年公演を観劇したなら、記憶をちょっと呼び起こすことをお勧め。事件を追う彼らの姿と九泉晴人の過去、トラウマに悩まされる。その苦悩、幻聴なのか、「頭の中で知らないやつが俺の名前を呼ぶ」という。それは誰なのかわからない。監視官の海堂自我はエリート、真面目でリーダーシップもあり、三係をまとめている。ギター好きの水落涼介(菊池修司)、こちとあるごとにギターを持ち出す、馬場吾郎(中村祐志)は力自慢系、鹿取尊(田村心)は少々警戒心が強く、ここでは最年少の⻘蓮院洸也(春本ヒロ)は、若さゆえなのか、伸び伸びしている。捜査が進むうちに歌手のイリュージオ(山本咲希)が怪しいと睨む。彼女の正体は?そして九泉晴人の過去、事件の黒幕は?というのが大体の流れ。

謎が謎を呼び、虚なのか実なのか、映像演出、中央上に映し出される”LIVE”映像、このシリーズの映像仕掛け。アンサンブル陣の仮面が不気味さを助長、アクションシーンはレベルが高く、かなり高度な技を繰り広げる。

最後まで目が離せない展開、『そうだったのか』という驚き、上演時間はノンストップのおよそ1時間50分、タイトルになっている「Virtue」は「美徳」とか「善行」という意味があり、「Vice」は「悪」「非行」「堕落行為」という意味、初演から一貫して『正義』とは?生きること、自分の存在を問いかけている哲学的な側面もある。

ボイスキャストの常守朱(花澤香菜)、禾生壌宗(榊原良子)、ドミーネーター(日髙のり子) 、アニメを視聴してたなら、この声はテンションが上がるはず。

ゲネプロ前に簡単な会見が行われた。登壇したのは、九泉晴人役の鈴木拡樹、海堂自我役の和田雅成、演出の元吉庸泰、総合演出の本広克行。なお、和田雅成はシリーズ初参加。

鈴木拡樹は「人間とは何なのか?というところ…考えさせられるところが見どころ」とコメント。和田雅成は「『サイコパス』らしいものができました。心から愛せる作品」といい、演出の元吉庸泰は「(役者が)芝居を一生懸命やっているところが見どころ」と語る。芝居シーンも濃密、そしてアクションシーンはちょっとのことが怪我につながる、かなりムズい動きが多い。舞台版は一貫して舞台だけのオリジナルストーリーであり、登場するキャラクターも舞台版だけの人物。作品のコンセプトは“近未来SF”、“警察もの”、“群像劇。アニメ版、映画版、小説、ゲームと多展開、その最初から関わっているのが総合演出の本広克行。脚本の深見真もアニメ版から関わってるので、完全オリジナルでも世界観はきっちり。苦労した点については「いろんなことを気にかけないといけない。(でも)苦労するというよりも、(むしろ)楽しく作れました」と鈴木拡樹。芝居、アクション、そして映像演出との兼ね合いがある。和田雅成は「葛藤している部分や追いついていない部分もあるので、お客さまと一緒になって追いついていきたい」と語る。本広克行は「『サイコパス』は難しい、何回も悩む、でも面白い」と語る。悩むことが楽しみにつながっている様子。
最後にPR。鈴木拡樹は「『舞台 PSYCHO- PASS サイコパス Virtue and Vice』は最後になります。しっかりとお届けします。今まで5年間応援してくださった皆さまにとっては完結をお届けます…(最後を)すっきりとした気持ちで見届けていただけたら」とコメント。
和田雅成は「今回からも楽しめるように、皆さんが楽しめる形に作ってくださいました」と語る。アニメをよく知らなくても世界観に没入できること、間違いなし。元吉庸泰は「この世界、この時代。この場でしか楽しめない作品」といい、本広克行は「『あ、こうなんだ』と…ちょっと難解ですが、諦めずに!アニメを観た方も楽しめます」と締めくくった。24日まで東京、大阪は28日から31日まで。なお、劇場に行かれないなら配信も用意されているので、こちらも。

<2019年レポ記事>

演出:本広克行、鈴木拡樹、和田琢磨らが縦横無尽に!「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」、人として生きる、人間の尊厳とは?

<2020年レポ記事>

『舞台 PSYCHO‐PASS サイコパス Virtue and Vice 2』正義、生きる意味、そして未来はどこへ向かうのか。

あらすじ
かつて公安局刑事課三係に監視官として所属し、とある機密計画の真相に触れた九泉晴人は、
同じ監視官の嘉納火炉と対立後、休職。
心理カウンセラーの林崎仁哉のもとでカウンセリングを受けていた。
うつ病と自認し記憶のおぼつかない九泉だが、林崎から“再び“ある計画の被験体として選ばれたことを告げられ、
海堂自我監視官が率いる公安局刑事課三係に復帰し、海堂監視官および執行官らと学者殺しの事件の捜査を行うことになる。

事件の犯人は使用道具から、殺すことに躊躇いのない人物だと推測されるが街頭スキャナにはそれらしき人物の反応はなかった。
そこで三係は、前触れもなく突如色相悪化した暴徒たちが出現するここ最近のサイコハザードとの関連性が高いと見て、一連の事件の捜査を進めていく。

そして、捜査を行ううち、殺害された学者と「イリュージオ」という人気歌手の事件への関わりが浮かび上がっていく。
イリュージオの声を聞いて自らの異変に気がついた九泉は、イリュージオのライブを阻止しようとライブ会場へ乗り込む。

事件の鍵を握るイリュージオの正体とは、そして九泉の過去とは—。

概要
タイトル:『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3』
公演日程:
東京:2024年3月15日(金)〜3月24日(日) THEATER MILANO-Za
大阪:2024年3月28日(木)〜31日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
出演:
九泉晴人:鈴木拡樹 海堂自我:和田雅成
林崎仁哉:多和田任益(梅棒) 鹿取尊:田村心 水落涼介:菊池修司 馬場吾郎:中村祐志 ⻘蓮院洸也:春本ヒロ 仁木蔵藻:高橋駿一 イリュージオ:山本咲希/葉原博 工藤潤矢
嘉納火炉:和田琢磨(映像出演)
石澤友規 池之上頼嗣 松岡歩武 森本⻯馬 山川源太 藤田真澄 若尾颯太 篠原雅史

ボイスキャスト: 常守朱(花澤香菜)、禾生壌宗(榊原良子)、ドミーネーター(日髙のり子) ※榊原良子の「さかき」はきへんに神が正式表記。

主題歌:凛として時雨
原作:サイコパス製作委員会
総合演出:本広克行
脚本:深見真
音楽:菅野祐悟
演出:元吉庸泰 演出補:荒井遼 脚本協力:私オム
アクション監督:奥住英明(T.P.O.office) 美術:石原敬(BLANk R&D INC.) 照明:吉川ひろ子(クリエイティブ・アート・スィンク) 音響:今村太志(サウンドクラフトライブデザイン社) 映像:横山翼 衣裳:桃木春香 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督:大友圭一郎
宣伝美術:石塚丈仁(Rotterdamʻs doing.) 宣伝写真:本多大介(エーケーエー) DOMINATOR 協力:株式会社 Cerevo
プロデューサー:千葉悦子(room NB)、深澤耕輔(FAB)
制作:room NB、FAB
主催:舞台「サイコパス 3」製作委員会

舞台公式サイト:https://psycho-pass-stage.com

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