3月20日に開幕した、2024年メジャーリーグベースボール。

 史上初めて韓国で行われた開幕シリーズでは同じナ・リーグ西地区に所属するロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスの2連戦が行なわれ、大谷翔平、山本由伸、ダルビッシュ有、松井裕樹が揃って出場するなど日米で大盛り上がりを見せた。

 11年連続ポストシーズン出場、そのうち10回は地区優勝と地区内では絶対的な強さを発揮するドジャースには今季、2人の日本人選手が加わった。

 10年7億ドルという全米スポーツ史上最大の大型契約で入団した大谷はここまで順調な調整を続けている。ここまでオープン戦6試合に出場した時点で、打率.583、1本塁打、6打点、OPS(出塁率+長打率)1.565。この数字からも察することができるように、昨年9月に手術した右肘の状態も良好で、韓国シリーズでは2試合ともに安打を放ち、2戦目にはあわやホームランという当たりも見せるなど怪我の影響は何もないようにすら思える。

 打線全体を見渡しても、大谷の前後を打つムーキー・ベッツとフレディ・フリーマンも順調に調整中。ベッツ、大谷、フリーマンとMVP受賞者が3人並ぶ1〜3番はMLB史上でも屈指のトリオとなる可能性をさっそく見せた。

 一方、山本は韓国シリーズの2戦目に先発登板するも、制球に苦しみ1回5失点と打ち込まれて降板。開幕戦でメジャーの洗礼を浴びる結果となった。

 オープン戦からピリッとしない投球内容が続き、現地時間3月6日に行なわれたオープン戦のホワイトソックス戦でも3回6安打5失点しており、そのオープン戦後には本人も「ボール球が続いたり、四球を出したりしてあまりいい投球ではなかった」と振り返っていた。ただ、「感覚的にはそんなにむちゃくちゃ悪いというわけではないです」とも語っていたことから、現時点ではまだ調整が続いている段階とみるべきだろう。

 著名アナリストのイーノ・サリスは山本の各球種について、次のような診断を下している。

4シーム:MLB上位20%
スプリッター:MLB最高
カーブ:一級品
カッター:平均以下

 この見立て通りならば、メジャー1年目からエース級の成績を残しても何の不思議もない。いや、投手史上最長となる12年3億2500万ドルという超大型契約を得たからにはそれくらいやってもらなければ困る、という見方すらあるかもしれない。

 ここまで本領発揮とはいかず現地メディアでは活躍を不安視する報道もあるが、それらを一蹴するピッチングを見せてほしいところだ。
 
写真提供:J SPORTS

 今季も地区優勝大本命のドジャースだが、実はいくつか?マークがある。先発投手陣では、山本の出来もさることながら、タイラー・グラスノーやウォーカー・ビューラーの健康面もカギになる。

 そして野手陣では、正遊撃手を務めるはずだったギャビン・ラックスの守備の不調で、何とベッツがショートに入ることになった。昨季16試合守っただけのポジションを、果たしてシーズンを通してこなせるのか。さすがのベッツといえども決して簡単なタスクではない。そう考えると、昨季もドジャースを上回る104勝を挙げたアトランタ・ブレーブスの方が不安要素は少ないように見える。

 MLB史上最多タイの307本塁打を放った打線は、主要メンバーがほぼ全員残留。前人未踏の40本塁打&70盗塁を達成して満票MVPを受賞したロナルド・アクーニャJr.、本塁打&打点の二冠に輝いたマット・オルソンを筆頭にまさに多士済々で、破壊力は間違いなくドジャースを上回る。

 投手陣も、最多勝&最多奪三振のタイトルを獲得したスペンサー・ストライダー、22年サイ・ヤング賞投票2位のマックス・フリードに加え、新加入のベテラン左腕クリス・セールに復活の予感。オフの補強でブルペンの層もさらに厚くなった。

 ナショナル・リーグの覇権争いは、今季もこのブレーブスとドジャース、東西の二強を軸に展開していくことになるだろう。

 そんな中、混戦模様の中地区で抜け出そうとしているのがシカゴ・カブスだ。昨季は最後に力尽きたとはいえ終盤まで地区優勝争いに参戦。鈴木誠也の後半戦の打棒爆発も印象的だった。そしてオフには今永昇太らを補強。今永が先発2〜3番手として機能すれば、それだけで地区優勝はぐっと近づくだろう。

 もちろん、韓国開幕シリーズでドジャースと対戦するパドレスもプレーオフ進出を目指している。オフはホアン・ソト、ブレイク・スネル、ジョシュ・ヘイダーと投打のスターが相次いで退団。戦力ダウンを余儀なくされた。

 それだけに、新加入の松井裕樹にかかる期待は大きい。キャンプイン時の会見では英語だけでなくスペイン語でも話して現地メディアの好評を得ると、オープン戦初登板は三者連続三振。その後、腰の痛みを訴える場面もあったが、自慢のチェンジアップはメジャーでも十分通用する可能性を秘める。MLB公式球への適応さえスムースにいけば、どこかの段階でクローザーを任されても不思議はない。

 渡米13年目を迎えるダルビッシュにも期待したい。昨季は故障もあって不本意なシーズンだったが、今春はここまで順調に調整。一気に若返った投手陣全体のリーダーとしても貢献してくれるはずだ。
 

 株式会社ジェイ・スポーツは、日本時間3月29日(金)にアメリカでの開幕を迎える「メジャーリーグベースボール(MLB)2024」を今シーズンも連日放送!開幕前から注目を集めているロサンゼルス・ドジャー大谷翔平選手・山本由伸投手の先発出場試合を全試合放送(※1)し、その他、日本人注目選手の先発出場試合も放送予定です。(※2)

 またMLBの魅力を発信する情報番組「MLBイッキ見!」が3月29日(金)から毎週金曜日の午後10時より初回BS無料放送でお届けいたします。

 MLBアナリスト・AKI猪瀬氏とMC・津田麻莉奈さんが1週間に起こった出来事、スーパープレーなど、MLBの最新情報をどこよりも分かりやすくお伝えします。

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