56年ぶりの快挙を間近で捉えた写真が脚光を浴びている。

 現地3月20日から、カナダ・モントリオールで開催されたフィギュアスケートの世界選手権が幕を閉じた。女子シングルは坂本花織が圧巻の演技で史上8人目となる3連覇を達成。浅田真央に並ぶ日本勢最多、通算3度目の頂点に立った。

 細かいミスが出たショートは4位発進。戴冠に暗雲が漂ったが、幾度もの修羅場をくぐり抜けた世界女王は、今シーズンの集大成で底知れない勝負強さを発揮した。

 ひとつのミスも許されないなか、坂本はフリーのジャンプをすべて着氷。技術点、演技構成点でも他を圧倒した。会心の演技を終えた直後は氷上で両膝をつき、感極まった表情を浮かべた。

 リンク脇で演技を見守った中野園子コーチが力強いガッツポーズをみせるほど、パーフェクトな出来に歓声と拍手は鳴り止まず、女王を称えるかのように会場は多くの日の丸が揺れた。

 フリー149.67点、ショートとの合計222.96点で坂本は暫定トップに浮上するとそのまま逃げ切り、3年連続の金メダルをその手で掴んだ。
  計り知れない重圧のなかで、再び世界の頂点に立った坂本。喜びに浸る日本人スケーターの一挙手一投足を名物カメラマンは見逃していない。

 フィギュアスケートやスピードスケートなどのウインタースポーツはもちろん、サッカーの欧州チャンピオンズリーグ、eスポーツ・ワールドカップなど、競技問わず国際的なスポーツイベントを激写しているスポーツ写真家のヨセップ・マーティンソン氏は3度目の世界女王に輝いた坂本の極上スチールを自身のSNSに投稿。国際スケート連盟(ISU)の公式インスタグラムが同氏の至極なカットを数枚共有するほど、その美しい写真が話題となっている。

 演技直前に中野コーチから激励を受けて送り出されるルーティーン、集中力を高めている場面や氷上に手をついたフィニッシュシーン、得点を見て驚愕する表情など、選りすぐりのショットがアップされていた。

 この写真には日本だけでなく、海外のファンも即反応。「カオリの写真に恋してる!!」「(1枚目は)まさに彼女を象徴する瞬間ね」「かおちゃんの真剣なお顔、やったるぜ! が聞こえて来そう」「かおちゃん最高!!」など、マーティンソン氏だからこそ撮影できた瞬間に称賛が寄せられた。

 伸び盛りな若手が台頭するなか、坂本は世界女王の名に恥じぬ強さで今シーズンも戦い抜いた。記者会見では、ウクライナ侵攻に伴う措置で国際舞台への不出場が続くロシア勢について問われると、「もちろん(戻ってきても)勝ち続けたい」と宣言。「今のままじゃダメだというのは分かっているし、今できることを精一杯やって、もっともっと自分自身のレベルを上げていけたらなと思っています」と最強女王は気を引き締め、さらなる高みを誓った。

構成●THE DIGEST編集部

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