日本卓球界の超逸材に警戒を強めている。

 現地4月20日、マカオで開催されている卓球の「ITTFワールドカップ(W杯)2024」の女子シングルス準決勝は、世界ランキング12位の張本美和が同2位の王曼昱(中国)と対戦した。結果はゲームカウント2-4で張本が敗北を喫し決勝進出は叶わなかったが、女子ではW杯史上最年少での銅メダルを獲得した。

 スコア以上の大接戦だった。第1ゲームは王曼昱の回転量の多いドライブに圧倒され、張本はミスが続出。終盤で追い上げるも、最後は9-11で競り負けた。

 第2ゲームも相手がパワフルなドライブで応戦。張本も素早いバック、フォアハンドで対抗するが世界ランク2位の牙城を崩せず、このゲームも落としてしまう。

 連取された張本だったが、第3ゲームはチキータ、サーブに変化をつけて緩急を使った攻めの卓球で応戦。8連続ポイントを積み上げるなど、有利にゲームを進めて張本が11-6で奪い返した。

 第4ゲームも序盤は張本がリードしたが、すぐさま王曼昱が5連続ポイントで逆転。そのまま押し込まれ、ゲームカウント1-3と王手をかけられる。

 崖っぷちに立たされた張本だが、4月に高校生になったばかりの15歳はここから末恐ろしい底力を発揮する。世界2位の放つサーブやラリーに慣れると、相手のフォアサイドを突くなど攻略法を見い出し、再びゲームを奪取。最後は左手で力強いガッツポーズが飛び出し、粘り強さを見せる。

 第6ゲームは一進一退の展開。王曼昱の速いラリーに食らいつき、ポイントを取られたら取り返すの激しい攻防戦に。終盤は強気のバックハンドを見せた15歳が先にゲームポイントを握るが、卓球王国2位の実力者はそう簡単にゲームを終わらせてくれない。張本は2度のゲームカウントをモノにできず、逆に王曼昱がマッチポイントを握る。そして最後は張本のフォアドライブが無念のオーバーとなり、11-13で決着。世界2位を相手に互角のラリーを繰り広げたものの、勝利まであと一歩足らず、試合後は涙を浮かべた。
  だが、卓球大国を最後まで焦らせたのは事実だ。試合直後に王曼昱は死力を尽くしたようにコートに両膝をつき、相手コーチも安堵したような冷や汗の表情だった。中国の大手スポーツ新聞『体坛周报』はこの一戦を振り返っており、「王曼昱は張本美和を4-2で破り、女子W杯決勝に駒を進めた」と伝え、王曼昱の底力を称えた。だが一方で、「試合は非常に厳しい展開だった」と振り返り、日本の15歳のパフォーマンスに驚きを隠せなかった。

 さらに、「王曼昱の決勝への道のりは、今夏のパリ五輪で対戦が予想される中国チームの大きな脅威となる早田ひな、張本美和を破った」と記すように、すでに早田と張本はパリ五輪で中国最大の強敵だと認めている。「(王曼昱は)試合を重ねるごとに強くなっている。彼女の経験と冷静さが、重要なポイントと試合への勝利につながった」と言及。最後の最後で勝負を分けたのは、大舞台での経験の差だったと分析している。

 今大会は決勝トーナメント1回戦で世界ランク3位の王芸迪(中国)から初勝利を挙げるなど、快進撃を見せた張本。史上最年少でのベスト4進出は世界に大きなインパクトを与え、パリ五輪に向けて張本自身も大きな収穫を得ることになったかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】世界ランク2位と互角のラリーも…張本美和が女子史上最年少で銅メダル
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