昨夏にシュツットガルトから電撃的にリバプールに移籍し、当初はプレミアリーグのスタイルに馴染めずに苦戦し、ベンチで過ごす時間も長かった遠藤航だが、昨年末頃から存在感を示すようになり、今やアンカーとして、ユルゲン・クロップ監督のファーストチョイスとなっている。

 中盤での運動量、ボール奪取能力に加え、攻撃面でも好パスでチームに貢献する31歳の日本代表キャプテンのことは、現地メディアも多くの試合で高く評価。「レッズ」とは4年間の契約を結んでおり、来季以降もその勇姿が見られるのを期待したいところだが、彼の将来に対しては一転してネガティブな見方も少なくない。

 日刊紙『THE Sun』は、クロップの後任者として有力視されている現フェイエノールト監督のアルネ・スロットがリバプールでいかなるチーム作りをするかを、早くも展望。45歳のオランダ人指揮官が率いるイレブンの特徴として、中盤の底に2人の選手を置いていることを挙げ、「この役割の選手は、守備では強くて規律があり、より深い位置からボールを前に運びながら、攻撃面で創造性を発揮する能力を持っている必要がある」と指摘した。
  そして、「遠藤は今季、シングルのアンカーとして見る者に好印象を与えているが、リバプールの中盤が2人の『ピボーテ』に移行した場合、彼がチャンスを逃すことになるかもしれない」と、背番号3のメンバー漏れの可能性を示唆。また、「アレクシス・マク・アリステルはこの役割に適任であり、またコナー・ブラッドリーが右SBとして台頭してきたことで、トレント・アレクサンダー=アーノルドがMFに転向するとみられる」と付け加えている。

 サッカー専門サイト『TEAMTALK』も、同じくスロット体制となった際のリバプールの陣容を予想する中で、「遠藤は昨夏にサプライズで加入し、1600万ポンド(約32億円)の移籍金が割安だったことを証明した不動の存在だが、リバプールは中盤のクオリティーのアップグレードを必要としている」として、中盤の底にはマク・アリステルの隣に、現在はポルトに所属するアラン・バレラの名を挙げた。

 このアルゼンチン人の22歳について、同メディアは「アンフィールドの元スター選手、ハビエル・マスチェラーノに例えられる22歳の彼は、ミドルサードで同胞のマク・アリステルにスペースと時間を提供するための守備とボール奪取スキルを提供するだろう。しかし彼には、パリ・サンジェルマン、ドルトムントも注目しており、ポルトの評価額である7000万ユーロ(約118億円)を満たしたとしても、厳しい争奪戦が待っているだろう」と綴っている。 一方、スポーツ専門サイト『sportskeeda』は、リバプールの今夏の戦力補強の候補としてフェイエノールトのオランダ代表MFマッツ・ウィーファーに注目。スロット監督とアンフィールドでも共闘する可能性があるという24歳を、「中盤で安定性と制御力を提供できるアンカーとして、すでにエールディビジで100試合以上の出場を誇る。今後、何年にもわたってレッズの中盤の要となれる」と絶賛。そして、「彼を獲得した場合、遠藤は有能なバックオプションとして機能するだろう」と、現アンカーにも言及した。

 他にも、サッカー専門サイト『TBR』は、イタリアの『TUTTO JUVE.com』の情報として、アタランタのオランダ代表MFトゥーン・コープマイネルスのリバプール行きの可能性に触れ、「長らく噂されているものであり、(同じく関心を寄せているという)ユベントスへの移籍の確率は下がっている」と報道。こちらの移籍金は6000万ユーロ(約101億円)とされている。

 このように、遠藤のポジションには多くの補強の可能性が示唆されているが、これについてリバプールの地元紙『ECHO』のジョー・リマー記者は、「リバプールは昨夏、トップクラスの守備的MFを獲得することに注力し、1億1100万ポンドでモイセス・カイセド(ブライトン→チェルシー)の争奪戦を展開した後、1600万ポンドのベテラン選手、遠藤航を獲得することで、その追求は終わっていた」と振り返り、以下のように続けた。
 「私は今、遠藤の大ファンだが、彼はすでに30歳を超えてしまっているため、リバプールには、チームを次のレベルに引き上げることができるような、長期的なオプションが必要だ。ロドリの不在がマンチェスター・シティに与えた影響や、デクラン・ライスとの契約がアーセナルを新たな高みに押し上げたことを重視する必要がある」

 遠藤の去就については、リバプールのクラブ専門サイト『ROUSING THE KOP』で、グレアム・ベイリー記者が「もし遠藤がある時点でドイツに戻ったとしても、それは大きなショックではない。彼は加入し、仕事を終えた。素晴らしい仕事をしたと思うが、彼がブンデスリーガに戻るのは、確実に目に見えている」と語ったことが他のメディアでも話題となり、同じクラブ専門サイトの『ANFIELD CENTRAL』は「売却する意味が分からない。彼を残す方がはるかに合理的だ」と反論している。

 その働きが評価されながらも、改変期を迎えようとしているチームにおいてはその年齢がネックになっているように感じられる遠藤。とはいえ、彼以上の年齢でもハイレベルのパフォーマンスを発揮し続けている選手がいるのも事実であり、日本代表のキャプテンがレッズでその存在感を示しながら、契約を満了できるかどうかが興味深いところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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