ダイヤモンドバックスはドジャースとの3連戦勝ち越しが賭かった5月1日(現地)の一戦で、先発マウンドにエースのザック・ギャレンを送り出す。

【動画】ギャレン、夢の舞台オールスターで大谷を空振り三振に打ち取る!

 昨季、リーグ2位の17勝を挙げてチームの22年ぶりリーグ優勝に大きく貢献したギャレンは幅広い球速帯、変化量のボールを駆使するアーティストだ。

 決め球は、打者の近くで急加速しながら鋭く曲がるナックルカーブ。それほど変化量は大きくないにもかかわらず、今季は被打率.114で空振り/スウィング率47.3%(通算でも.184と37.4%)と抜群の威力を誇る。このナックルカーブを低めに集め、奪った21三振は全球種を通じて最多。1日の試合で投げ合う山本があらゆるカウントで投じる落差の大きな“ヨーヨー・カーブ”とは、使い方も球質も異なっている。

 カーブ以外にスライダー、チェンジアップなども操るが、甘いゾーンには入らず、今季はまだ変化球でまだ本塁打を打たれていない。、変化球打ちが巧みなムーキー・ベッツやフレディ・フリーマン、曲がるボールにも強さを発揮している大谷翔平を封じられるかも勝敗のカギを握るだろう。

 ここまで4シームの球速低下が目立ち、前回登板で右ハムストリングを痛めて61球で降板したのは気がかりだが、メジャーきっての技巧派右腕は不屈の闘志で乗り越えようとするに違いない。 2016年ドラフト3巡目指名でのプロ入り後、各種媒体のトップ・プロスペクトランキングにギャレンの名前が載ったことはない。メジャーに定着するまで2回トレードを経験した右腕の耳に、周囲からの「あれができない、これもできない」の声がいつも届いた。そうした懐疑論を封じ込め続けて現在の地位を築いた経緯は、我が道を貫き、現在の独特な投球フォームを作り上げた山本とどこか重なる。

 昨年の投げっぷりにも、内に秘める思いの強さが見られた。シーズン中は自己最多の210投球回をこなした上にプレーオフで計33.2回を重ね、ブレント・ストローム投手コーチが「1970年代の話」と称賛したほど。マウンド上でのポーカーフェイスをチームメイトから「感情がない」とからかわれることもあるが、それも負の感情が「相手に自信を与える」ことを意識しての姿勢に過ぎない。

 豪華補強に成功したタレント軍団に面しても、ギャレンは粛々とゲームメイクに務めるはず。いつものように、トレードマークの黒縁メガネが投球をより知的に見せながら。

文●藤原彬


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