5月11日に行なわれたスコットランド・プレミアシップ第36節(トップ6・セカンドフェーズ第3節)で、首位セルティックは2位レンジャーズとの伝統の一戦「オールドファーム」を2-1で制し、宿敵との勝点差を6に広げて3連覇に王手をかけている。

 本拠地セルティック・パークでの一戦、ホームチームは攻勢を保ちながら35分にマット・オライリーがゴール右隅の狭いコースを射抜いて先制すると、さらにその3分後、速攻から前田大然が左サイドでボールを受けてドリブルでゴールライン際まで進入。ここからマイナスに折り返したクロスを相手選手が自陣ゴールに押し込んでしまい、オウンゴールで加点。40分に1点を返されたものの、宿敵が前半のうちに退場者を出して数的優位を得たセルティックは、複数の逸機がありながらも、最後までリードを守り抜いた。

 持ち前のスピードと運動量でチームの攻撃に貢献した前田は、前述の通り決勝点の起点となった他、後半にはいずれもオフサイドで無効となったものの、2度もゴールネットを揺らすなど、90分間を通して印象的なプレーを披露している。
  自身のSNSでファンへの感謝を示した背番号38に対して、クラブはSNSで「試合の決定的な瞬間……ダイゼンが相手に大混乱を引き起こした」と彼のゴール場面に言及し、また公式サイトは「セルティックのリードは、キャメロン・カーター=ヴィッカーズがロングボールを蹴り、この浮き球パスをダイゼンが難なくコントロールした後、すぐに2倍になった」と、速攻から全力で走りながら見せた前田の正確なトラップとその後のプレーの効果を強調した。

 現地メディアもこのアタッカーに高評価を下しているところが多く、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は10点満点の採点でオライリーと並んでチーム最高となる「8」を前田に与え、日刊紙『THE SCOTTISH Sun』も同採点(こちらはチーム2番目タイ)で、寸評では「前田は前回のオールドファーム(第32節)以来の先発出場を果たし、疲れを感じさせないプレーで2点目をチームにもたらしたが、他のゴールはオフサイドで取り消された」と、そのプレーを振り返っている。

『The Guardian』紙は、前田のクロスからオウンゴールを決めてしまい、さらに前半アディショナルタイムには危険なスライディングで一発退場となったレンジャーズのイングランド人MFジョン・ランドストラムの視点から、「彼は辛い午後を過ごした。前田のトリックの後、彼はボールを自分のゴールに押し込んだ」と綴った。

 対して『Daily Mail』紙は、「技術能力ではあまり有名ではない前田が(カーター=ヴィッカーズの縦パスを)素晴らしいタッチで受け止め、ゴールラインに向かってからボールを供給した」と前田のゴールに繋がるプレーを伝え、また「前田がジェームズ・タバニアからボールを奪うために自陣に戻ってタックルを仕掛けた場面では、まるでゴールを決めたかのように喝采を受けた。セルティックが必要としていたのは、このような働きだった」と、守備面での貢献にも触れている。 そして『Daily Record』紙は、「前田は最初の10分でタバニアからボールを奪い、抜き去るなど、素晴らしかった。彼の猛烈なスピードが、セルティックに一時的な余裕をもたらすランドストラムのオウンゴールを引き起こした。日本人選手は、最後まで頑張った」と、勝利の要素のひとつとして前田の存在を挙げた。

 採点に戻ると、『The Herald』紙は「7」で、「いつものように彼のエネルギーがレンジャーズのキャプテンであるタバニアにとって頭痛の種となるという、素晴らしい試合のスタートを切った。ランドストラムがセルティックの2点目を献上した際には、この日本人選手は素晴らしいボールタッチとクロスを提供。そして得点はオフサイドで無効とされたが、それでも彼はパーティーに多くをもたらした」と、終始ポジティブに評した。

 同採点の『THE SCOTSMAN』は、「以前の試合と比べると、タバニアに対してのプレーは致命的ではなかったが、彼の速さはチームに2点目をもたらし、後半には2つのオフサイドで得点を取り消された。そのエネルギーは、レンジャーズの守備陣にひと時の休息すら与えなかった。ゴールを祝ってスタンドに飛び込んだことで警告を受けた」と総括している。
  スポーツ専門サイト『GIVEMESPORT』は、「ホームチームのウイングとして活躍した日本代表選手は、チームの2点目でタバニアを翻弄した後、ペナルティーエリアで低いクロスを入れ、これをランドストラムが自陣ゴールに押し込んだ。その努力に対する最低限の報酬となるはずだった後半の2度のゴールは、オフサイド判定で取り消された」として、こちらも採点は「7」を付与した。

 サッカー専門サイト『Football Insider』も同採点で、「タバニアの脅威を無力化するだけでなく、その直線的なランニングと執拗なプレッシングにレンジャーズが対処することは不可能だった。彼は前半に素晴らしい低いクロスでオウンゴールを誘発。2つのオフサイド判定で得点シートに名前を刻めなかったのは不運だ」と、多彩な貢献ぶりを挙げている。

 最後に、地元グラスゴーの総合メディア『Glasgow World』はチーム最高タイの「8」を与え、「驚異的な仕事を全開。タバニアをスピードで圧倒し、素晴らしいクロスでオウンゴールを誘発した。ブレンダン・ロジャーズ監督が望むプレースタイルにとって非常に重要な存在となり、ニコラス=ゲリット・クーンの代わりに前田を先発させた指揮官の判断は正しかった」と賛辞を贈った。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】レンジャーズDFのオウンゴールを誘発した前田大然のクロス
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