6月24日(日本時間25日)に行われるホワイトソックス戦を、ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成総責任者やブランドン・ゴームズGM、スカウト、データ分析班たちはそれこそ「目を皿のようにして」チェックするに違いない。

【動画】109球で変化球は1球だけ!クローシェイが4シーム&カッターで圧巻の13奪三振

 なぜなら、ホワイトソックスの先発マウンドに立つギャレット・クローシェイは、約5週間後の7月30日に迫ったトレード・デッドラインでドジャースが獲得するかもしれない「有力補強候補」の一人だからだ。

 2020年ドラフト1巡目(全体11位)でホワイトソックスに入団したクローシェイは、左腕から繰り出す100マイルの剛速球を武器に、その年の9月にいきなりメジャーデビュー。22年のトミー・ジョン手術を経て今季から先発転向を果たすと、ここまで16試合に先発して防御率3.25を記録している。

 クローシェイの魅力は何と言っても圧倒的な支配力だ。弓を引くような独特のアームアクションから投じる4シームとカッターとスで打者をねじ伏せ、ここまで124奪三振はタイラー・グラスナウ(ドジャース)に次いでMLB2位。9イニング平均では12.59で、グラスナウの12.15を上回る。 圧巻だったのは、7回2安打13奪三振1失点の快投を演じた6月13日のマリナーズ戦だ。この日、クローシェイが投じた102球のうち、実に101球が4シームとカッターの速球系で、変化球はチェンジアップを1球投げたのみだった。リリーフならともかく、先発でこれほど力勝負のみで打者を蹂躙できる投手は珍しい。そして、この「支配力」はフリードマン編成総責任者が投手に最も求める資質でもある。

 グラスナウ、ジェームズ・パクストン、ギャビン・ストーン、ボビー・ミラー、そして戦線離脱中の山本由伸、ウォーカー・ビューラー、クレイトン・カーショウと頭数自体は十分揃っているドジャースの先発陣。だが、故障中の3人以外にもグラスナウ、パクストンは耐久性に問題を抱え、ストーンとミラーはまだフルシーズンをメジャーで過ごしたことがない。プレーオフを勝ち抜くためには、やや不安を抱えた布陣であることもまた確かだ。

 半面、パドレスやブルワーズ、ブレーブスなどナ・リーグのライバル球団がクローシェイを獲得した際には、プレーオフでドジャースにとって大きな脅威となる可能性を秘める。もちろん、ドジャースが獲得するためには複数のトップ・プロスペクトを差し出さなければらない。多大な犠牲を払ってでも補強する価値が本当にあるのかどうか。明日の試合は、勝敗以上にクローシェイの投球に注目するべきかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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