3月26日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext<263ch>)。今回のゲストは「キモティーーーッ!」でお馴染みの外野手G.G.佐藤こと佐藤隆彦と、伝家の宝刀・縦スライダーを武器にリリーフとして活躍した内竜也だ。現役時代の苦い思いを笑いに変えたぶっちゃけトークが連発した。

■恩師・星野仙一監督のエピソードに「俺のギャグでまとめんな!」

今回は、ソフトバンク大好きなフリーアナウンサー・坂本麻子、そしてお笑いコンビますだおかだ・岡田圭右がMCを務める。

同番組では今回の放送から、質問に◯か×の札で5秒以内に回答しなくてはならない「◯×ダグアウト!!!」という新企画がスタート。ところがさっそく佐藤が「大御所の方は今までダグアウトでこんなことやってないですよね」「俺たちだけバラエティ感すごくないですか。なんすかこれ」と不満を口にする。鋭いツッコミに、スタジオは大きな笑いに包まれた。

そんななか始まった新コーナー。「ファンのヤジにカチンときたことがある」という質問に対して、佐藤は「×」と答える。「僕はヤジというよりはメディアから誹謗中傷されていた」と衝撃の発言。北京五輪の準決勝・3位決定戦でフライを落球し、日本がメダル獲得を逃したときのことを振り返る。

今となっては佐藤の持ち前の明るさで笑い話にしているが、「G.G佐藤A級戦犯」「E.E佐藤」などと言われた当時はさすがに辛かったようだ。そんなことがあっても見捨てずに起用してくれたのは、北京五輪で日本代表監督を務めた星野仙一監督。「G.G佐藤の野球人生をダメにしたくないから、俺はすぐチャンスを与えたんだ」といって励ましてくれたという。

しかし星野監督との心温まるエピソードでスタジオがしんみりしているなか、本人が「準決勝負けた後、もう使われないと思って“閉店ガラガラ”って感じでした」と岡田の持ちギャグで締めくくった。「感動の良い話や!俺のギャグでまとめんな!」「俺が感じ悪くなるからやめろ」と岡田もノリノリにツッコミ、スタジオは再び明るい雰囲気を取り戻す。

おちゃらけて見せた佐藤だったが、悔しさが心の中に残っているようだ。実は当時のトラウマからいまだに立ち直れておらず、「もう1回出てやり返したい」と熱い思いを口にする。それゆえ2023年におこなわれたWBCで日本が優勝したときは嬉しい気持ちもありつつ、心の底から喜べない自分がいたという佐藤。「俺たちも喜びあいたかった」と素直な気持ちを教えてくれた。

とはいえ、どうしてもしんみりな雰囲気に耐えられない岡田と佐藤。「岡田さんもキズを負ってる、スベったときとか」と佐藤がすぐさまエピソードを笑いに変えると、岡田も「やかましいわ!」とすかさずツッコミを入れる。

続けて岡田が「キズが売り…やかましいわ!」「お笑い会の大仁田厚と言うとる場合違うねん」とボケもツッコミも一人で回すという荒業を見せ、佐藤は楽しそうな表情を浮かべていた。

■「巨人入りしたいなと思っちゃった」佐藤の暴走が止まらない

今回もう1つ注目を集めたのは、同じく「◯×ダグアウト」のコーナーでのひとコマ。「行ってみたかった球団がある」と言う問いに、佐藤と内は両方が◯を掲げた。

そこで行ってみたかった球団について具体的に聞いてみると、内は先んじて「やっぱGじゃないですか。Gなだけに」と“G.G.佐藤”という名前にかけて佐藤をイジる。しかしこれが図星だったようで、佐藤はニヤッと笑顔に。岡田も「ジャイアンツ熱望してたんや」と茶々を入れつつ、詳しい話を聞いていく。

日本代表のキャンプ初日、当時の巨人監督である長嶋茂雄監督に初めて会ってテンションが上がった佐藤。「なんとかミスターにアピールして巨人入りしたいなと思っちゃったんすよ…」と気まずそうにぶっちゃけた佐藤に対して、岡田は「そら落球するわ!」と指をさしつつヤジを飛ばした。

大舞台の緊張もあったことだろうが、“ミスター”こと長嶋監督に見てもらいたいという功名心も本来のパフォーマンスを発揮できなかった要因だったのかもしれない。手痛いヤジだったが、さすがに時効ということもあってスタジオは笑い声に包まれる。

長嶋監督に見られていることでテンションが上がった佐藤。国際試合で使用するボールが若干重いことを考慮せず、練習で思い切ってボールを投げて肩を痛めてしまったそうだ。「そこから全ての悪夢が始まっちゃった」と渋い顔を見せる佐藤に、「野球の神様見てますね〜」と坂本が笑顔で一番強烈なトドメを刺していた。

■しがらみを考えないで話せるアットホームな空気感

“元”とはついても、球団の名を背負って登場するプロ野球OBたち。テレビで話すからには、やはり立場というベールをはさむのは仕方がないことだ。

しかし「ダグアウト!!!」は、その場にいるのが「元プロ野球仲間」と「大ファン」だけ。今回の放送でも、佐藤や内が現役時代の苦い思い出までしっかり語りつくしていた。名前が知られている元プロの立場として、自身の後悔・失敗を赤裸々に語るには人一倍の勇気が必要だったはず。

それでもファンとして温かく話を聞くMCたちの存在や、アットホームなスタジオの空気は多くが笑いに包まれている。ゲストの話し上手も手伝ってのことではあるが、話しやすい空気があるのは間違いない。

ゲストたちがカメラの前であることを忘れてしまうのは、やはりダグアウトで雑談するかのような“身内感”が大事なのだろう。今後もベテラン・レジェンドと気負わず、さまざまなゲストのエピソードを深掘りしてもらいたいものだ。