5月18日は日本記念日協会が認定した”ことばの日”。そこで、マーベル作品の名セリフから背中を押してくれる“ことば”を紹介する。

■「アイアンマン」(2008)――トニー・スターク(アイアンマン)の名言

「記録は破るためにある」

「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)の“勇姿”から5年。いまだにその姿が世界中の心に残り、響き続けているアイアンマン。その誕生は「アイアンマン」(2008)で描かれ、そこでも観る者に刺さる言葉を残している。

自らの手でスーツを開発し、自在に空を飛べるようにシステムを調整していたトニー・スタークは、飛行テスト中に航空機の最高高度を超えようと急上昇。その際、この名言を放った。

故障の恐れが生じてもなお限界まで挑戦し、テストはおおむね成功した。大胆な性格の持ち主だからこそ、その後もアベンジャーズを牽引するヒーローとして仲間から頼りにされてきたスターク。“恐れることなく、果敢にチャレンジすることが大切”というシンプルだが勇気づけられる彼の言葉は、日常生活においても背中を押してくれるはずだ。

■「ブラックパンサー」(2018)――ティ・チャラ(ブラックパンサー)の名言

「危機に瀕した時、賢者は橋をかけ愚者は壁を造ります」

アフリカの秘境にありながら最新テクノロジーを有する文明国ワカンダ。その事実が他国に知られないよう、長年秘密を守り続けてきた。ある時、突然の国王の死により王位を継ぐことになったティ・チャラ。国を守る戦いの中で、漆黒の戦闘スーツを身にまとう“ブラックパンサー”に。

ラストでは、国王として各国へスピーチを行い、「もしこのまま対立の風潮が続けば人類は存続も危ない。危機に瀕した時、賢者は橋をかけ愚者は壁を造ります。他者を受け入れ、慈しみ合いましょう」と熱弁。ワカンダの資源や知識を世界と分け合うという英断を下した。

“拒絶せず受け入れることが、他者同士が通じ合うための第一歩”というメッセージは、我々の心に強く響くことだろう。

■「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)――クリント・バートン(ホークアイ)の名言

「君たちが何者でも関係ない。一歩外へ出たら君はアベンジャーズだ」

平和維持のための人工知能ウルトロンが、自我に目覚め暴走。幼少期のトラウマからアイアンマンらアベンジャーズを憎んでいたワンダ・マキシモフ(のちのスカーレット・ウィッチ)らも加担し、人類に襲い掛かる。その後、過ちに気付いたワンダだったが、“ヒーロー”として戦いに参加することに迷いを感じていた。そこで放たれたのが、ホークアイことクリント・バートンのこの言葉。

「街が宙に浮き敵はロボット。俺の武器は弓。笑えるだろ。でも戦うのが仕事だ。君たちが何者でも関係ない。でも外へ出たら戦え。一歩外へ出たら君はアベンジャーズだ」。

“人はやり直せるし、過去は過去。大事なのはこれから何をするか”ということを、ユーモアを交えて説いたバートン。その言葉で戦うことを決意したワンダのように、我々にも勇気を与えてくれるに違いない。

■「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)――サム・ウィルソン(新“キャプテン・アメリカ”/元“ファルコン”)の名言

「俺が持つ力は人を信じる心だけ――“よりよい世界を造れる”と...」

「エンドゲーム」でのサノスとの決戦後、戦友のキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースから盾を託されたファルコンことサム・ウィルソン。そんな中、過激テロ集団に対抗するため、ウィンター・ソルジャーと共に戦いへ挑む。

一時は“キャプテン・アメリカ”を受け継ぐことへの重圧から盾を手放したサムだったが、次第に受け入れる覚悟を持つ。そんなサムが、「この盾を持つ俺に嫌悪感を抱く人が何百万といる。だが隠れはしない。俺には超人血清も金髪も青い目もない。俺が持つ力は人を信じる心だけ――“よりよい世界を造れる”と...」と、黒人であるサムがいまだ無くならない偏見に負けないと意思表示する。

“絶望するのではなく、希望を見つめよう”というメッセージは、何かを頑張っている人たちにとって、壁を乗り越える手助けとなるはずだ。

■「ミズ・マーベル」(2022)――カマラ・カーン(ミズ・マーベル)の名言

「普通なんてない。大切なのは与えられた力をどう使うか」

カマラ・カーンはキャプテン・マーベルが大好きな高校生。恋に勉強、友人関係など学生な
らではの悩みに苦労する彼女は、ある日夢にまで見たスーパーパワーを手に入れ、“ミズ・マーベル”としてヒーロー活動を行うことに。最初ははしゃいでいたカマラだったが、力を持った者の責任に葛藤しながら少しずつ成長していく。

終盤では、転校生カムランのパワーが暴走し、周囲に危害を加えそうになってしまう。人々に受け入れてもらえず、「俺がしたことを見ろよ。どうすれば普通になれる?」と嘆くカムランに対して発したのがこの言葉。

“誰しも個性を持っていて、それをどう発揮するかが大切”という、どんな人も受け入れ認める優しいメッセージは、失敗を経験した人の糧になるはずだ。

■「シー・ハルク:ザ・アトーニー」(2022)――ジェニファー・ウォルターズ(シー・ハルク)の名言

「ジェンは最高なのに――シー・ハルクしか注目されない」

弁護士のジェニファー・ウォルターズは突然得てしまった“ハルクのパワー”のせいでシー・ハルクとなり、騒動に巻き込まれることに。しかし「普通の弁護士でありたい」彼女は、仕事や恋愛にも奮闘していく。

シー・ハルクになったせいで世間の注目を集めてしまったジェニファーはある時、心情を告白。「パワーがなくても好きになってくれる?シー・ハルクが好きな男はジェン(=ジェニファー)も好き?そうじゃないヤツもいてジェンの心はボロボロ。ジェンは最高なのに、シー・ハルクしか注目されない。だから彼がジェンを好きになってくれて、本当にうれしかった。でも彼は遊びだったわけですごくみじめ」。

いわゆる“名言”とは少し違うが、本当の自分を仕方なく偽ったり、取り繕ったりしている人には共感できるはずだ。

以上のように、数多くの名言で観る人の背中を押し続けてきたマーベル作品。爽快でド派手なアクションはもちろん、それぞれの物語において描かれる深いドラマ、そしてそこで語られるヒーローたちの名言にも注目だ。なお、マーベル作品はディズニープラスで配信中。