【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。日本のブライダルファッションの先駆け的存在で、海外でも知られたデザイナーの桂由美先生が4月26日にお亡くなりになりました。特徴的なドレスのデザイン「ユミライン」が有名で、これまでにそのドレスで数えきれないほどの人々を笑顔にしてきました。私も結婚式の時のドレスを桂先生にデザインしていただきまして、非常にお世話になっていたものですから今回の訃報を知り、とてもショックを受けました。心よりご冥福をお祈りします。

 数々のステキなウエディングドレスを制作され、夫婦の新たな門出に花を添えてきた桂先生へのリスペクトを込めまして、今回は2022年公開の映画「ウェディング・ハイ」を紹介します。

 同作は、お笑いタレント・バカリズムさんがオリジナル脚本を務めたコメディーです。ウエディングプランナーの女性を主人公に、癖のある参列者たちの暴走でトラブル続きとなる結婚式の模様をコミカルに描きました。

 この映画を見ていいなと思ったのが、ドタバタ劇でも決してみんな悪気があるわけではないという点なんですよね。一世一代の結婚式だからこそ、良いものにしてあげたい、幸せになってほしいというお祝いの思いが強すぎてしまった。それが不幸な、良からぬ方向に動いた結果迷惑行為になってしまう。読者の皆さんにも心当たりのある方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんな問題のある結婚式を描きながらも、ハートフルで幸せな雰囲気が残っているのがこの作品の良いところです。

 近年はコロナ禍の影響もあり、式を挙げなかったり、簡易的に済ますという風潮もあります。桂先生は生前、この流れを大変嘆いていらっしゃいました。「ファッションを着る場所がないと誰もオシャレできないじゃん」と。結婚式はハレの日で、みんながハッピーにオシャレを楽しめる機会でもあります。新郎新婦だけでなく、参列する側も主催する側もオシャレを楽しみましょうという桂先生の意思が今後も受け継がれていってほしいです。

 本作は結婚式のドタバタを描いたフィクションですが、その愛にあふれた空間は皆さんも実際に知るところでしょう。結婚式に消極的な方ほど見ていただきたい作品となっています。この機会にぜひご覧ください。