獣神サンダー・ライガーが気になる話題やプロレス観を語る「獣神激論」。今回はゴールデンウイーク恒例の「レスリングどんたく」(5月3、4日、福岡国際センター)を占う。初日はIWGP GLOBALヘビー級王者ニック・ネメス(43)に棚橋弘至(47)が挑戦。2日目はIWGP世界ヘビー級王者ジョン・モクスリー(38=AEW)に成田蓮(26)が挑む。ベルト奪回がかかる2大王座戦を、獣神はどう見るのか――。

【ライガーが語る獣神激論(37)】福岡大会初日のメインは、棚橋選手がGLOBAL王者のネメスに挑戦しますね。やはり最大のポイントは、4月に予定されていた王座戦がケガで延期になった棚橋選手のコンディション。先日も唐津でのイベントで一緒になったんですけど、体を急いで仕上げている感じはありましたね。

 僕はあまり言いたくないけど、年齢的なものや古傷はあるしね。現役の時を振り返ると、47歳にもなったら、やっぱり疲れが取れなくなるんです。回復力が落ちてくる。これまで棚橋選手がたどってきた道って、いばらの道だったと思うんです。最近はやっぱりケガが目立つし、キャリアだけでカバーできない部分が大きくなってくるんじゃないかな。

 対するネメスからしたら、新日本でタイトルマッチをするだけでもステータス。そんな中で世界的に知名度のある棚橋弘至相手の防衛戦だから、これまで新日本で戦ってきた試合の中で一番の気合の入り方で来るのは間違いないだろうね。頑張ってほしいけど、棚橋選手にとっては厳しい戦いになると思ってます。

 2日目はモクスリーと成田選手のIWGP世界王座戦。体力的にもキャリア的にもモクスリーの方が上をいってると思うし、優位だと思う。もちろん成田選手にしてみれば、ここで名のある王者を食ってやろうって思いが絶対にあると思うんで、どうなるかですね。

 ただ、成田選手は「ハウス・オブ・トーチャー(H.O.T)」に加入せず、個人的にはまっすぐ成長してほしかったんだよね。鈴木(みのる)とストロングスタイルを追い求めたまま来た方が…いらん回り道をしてしまってるんじゃないかなって思いますね。

 それまでの成田選手って、すべては「強くなりたい」っていう素直な思いで行動していたと思う。なかなかできることじゃないし、見ている方にも気持ちが伝わっていたのに、H.O.Tじゃ180度違う。急がば回れって言葉もあるけど、成田選手の色じゃないと思うんだよね。

 しかも今回は、15年ぶりに団体最高峰王座が他団体所属選手に流出してしまっている状況だから。やっぱりIWGPは新日本の軸だから、これを取られた、しかも内藤(哲也)選手が取られたのはショックが大きいよ。

 一発勝負という意味では、何をしでかすか分からない怖さが成田選手にはある。ただ一点、無駄かもしれないけどH.O.Tのセコンド陣の介入がないことを祈りたいね。だって、もしそれでベルトを成田選手が取ったとしても、ファンは「新日本にベルトが戻ってきた、よくやった」とはならないよ。

 この試合の勝者には5月11日(日本時間12日)の米カリフォルニア大会で海野(翔太)選手が挑戦することもすでに決まっている。若い選手に光が当たって、景色が変わって、そこに賛否両論あるのは当たり前だと思う。成田選手にも海野にも挑戦が早すぎるって声もあるかもしれないね。

 でも(オカダ)カズチカと棚橋選手がやった時も「まだ早い」って声はあった。実際にはベルトを取って時代を築いたじゃないですか。誰がどう時代を築くのかはわからないし、彼らも頭を使って練習していると思う。外野がどうこう言う問題じゃないよ。

 そしてやっぱり至宝と言われてるIWGPは、新日本にドーンと構えていてほしいなと。流出してしまったベルトを誰が取り返すのか。これは今後の新日本にとって、すごく大事なポイントになると思うよ。