前評判を覆せ――。柔道の日本代表合宿が3日に都内で行われ、パリ五輪男子100キロ超級代表の斉藤立(22=JESグループ)は「やることは変わらない。自分の良さをもう一回見直して、それをやっていくだけ」と力を込めた。

 同階級の日本勢で2008年北京五輪の石井慧以来の頂点取りには、五輪を2度制したテディ・リネール(フランス)が最大の難敵となる。3月末のグランドスラム(GS)アンタルヤ大会では決勝で敗戦。さらにパリ五輪はリネールの母国で開催されることから、フランス国内ではリネールの勝利を確信する声が相次いでいるという。

 フランス連盟所属の指導者約30人が先月、東海大を訪問した際に居合わせた日本の柔道関係者は「やっぱりリネールの壁は大きい。前回も負けているし、リネールにとってはホームだから、フランスの人たちはみんな『リネールが勝つよ』と話していた」と証言。開幕まで3か月を切った祭典を前に、周囲の期待値は最高潮に達している。

 アウェー決戦が予想されるとはいえ、斉藤の気持ちは折れていない。直近も国内でリネールと練習場所がかぶったこともあったが「稽古はやっていない。もう(リネールと)やる段階じゃない。敵なのでしゃべってもいないし、目も合わせていない」。リネールの姿を見るだけでも「悔しい気持ちがあるので、絶対に『俺はやり返すぞ』との気持ちは出てくる」と大きな刺激となっている。

 斉藤の父は五輪2連覇の故・斉藤仁さん(享年54)。親子2代での五輪金メダルへ、大舞台でリベンジなるか。