サッカーのパリ五輪アジア最終予選を兼ねるU−23アジアカップ(カタール)で準々決勝敗退に終わり、9大会ぶりに本戦出場を逃した韓国が、同国スポーツ界の現状に不安をのぞかせている。

 同国紙「中央日報」は、2008年北京五輪の女子重量挙げで金メダルを獲得し、現在は韓国文化体育観光部第二次官を務める張美蘭氏の見解を紹介。「サッカーに対する国民的熱望と関心が大きいが、スポーツを総括する次官として惜しく、申し訳ないと思う。このような状況は突然生じたのではなく、総体的な問題点とその過程で生じた困難が累積され、発生した結果。今回のことをきっかけに、サッカーを含め大韓民国のスポーツが生まれ変わらないと未来がない」と語った。

 韓国では合計特殊出生率の低下が著しく、OECD加盟国最低の0・72。張氏は「小・中・高でエリートスポーツに参加する選手の減少が深刻だ。大部分の親は1人だけの子に厳しい運動をさせようとしない」と切り出した上で「最も根本的な解決策は、生活の中で子供たちがスポーツに触れる機会を増やさないといけない。少数精鋭エリートに集中する既存選手の育成方式の長所を継承しつつ、学校のカリキュラムの中で子供たちが多様なスポーツに触れ、才能のある子供たちを専門的に育てることができるシステムまでつくり出すべきだ」と提言した。

 パリ五輪に出場する団体球技種目は女子ハンドボールのみ。韓国内の危機感は日に日に高まっているようだ。