とんだとばっちりだ――。巨人は8日の中日戦(バンテリン)に4―1で勝利し2連勝。2カード連続の勝ち越しで首位・阪神に0・5ゲーム差と迫った。そんな戦勝ムードに水を差したのが、かつて在籍した元ドラフト1位投手の蛮行だ。松本竜也容疑者(31)が窃盗容疑で、チーム内では怒りの声が渦巻いている。

 2019年のドラ1右腕が実力を発揮した。先発した堀田は力のある直球とチェンジアップ、スプリットで要所を締め、6回途中68球6安打無失点。救援陣が後をつなぐと、8回二死満塁で長野が値千金の3点適時三塁打を放って快勝した。阿部監督も642日ぶりの先発白星となった右腕に「いやもう素晴らしい。最後も満塁をしのいだしね。素晴らしかったです」と賛辞を惜しまなかった。

 これで虎に0・5差まで詰め寄り、追い上げムードも高まってきた。だがこの日の試合前、チームに衝撃の一報がもたらされていた。11年のドラ1で巨人に入団した松本容疑者が香川県警に逮捕されたのだ。

 逮捕容疑は今年1月8日から12日にかけて、清掃業務で訪れた高松市に住む男性の住宅から腕時計2点(時価33万円相当)を盗んだ疑い。香川県警高松北署の取り調べに対して本人は「リサイクルショップに売りに行った」と供述し、容疑を認めているという。

 松本容疑者は15年に同僚選手(当時)たちと野球賭博に関与したとして、日本野球機構が無期限の失格処分を下し、巨人も契約を解除した。ただ、現役選手による賭博行為は球界に激震を走らせ、当時の巨人球団代表が辞任するなど大問題に発展した。

 今回、窃盗容疑での逮捕に巨人関係者は「ただでさえ今年は球団創設90周年の記念の年。チームが一丸となっている中、元ドラ1が逮捕されたニュースは迷惑以外の何物でもない」と再び「巨人のドラ1」が世間を騒がせたことに不快感を示した。

 また別の球団関係者も「(松本容疑者の)香川での交友関係があまり良くないというウワサが自分たちにも伝わってきていた。せっかく(22年に入団した)浅野(翔吾)が香川とドラ1のイメージを良くしたのにこれで台無しになった。残念で仕方がない」と怒りをのぞかせた。

 もちろん松本容疑者と現在の巨人とは何の関係もない。それでも元所属選手が問題を起こすたびに「巨人のドラフト1位」がクローズアップされる現実もある。伝統球団の宿命とはいえ、関係者にとってはやり切れない思いだ。