八甲田山系でクマによる人的被害が相次いだ事態を受け、青森市など関係機関は28日、現場周辺の入山規制を始めた。規制するのは、死亡事故があった地獄沼の東方を起点とした半径3キロの範囲を基本に、国道103号周辺と登山道に囲まれた、青森市と十和田市にまたがるエリア。期限は定めずに「当面の間」とする。看板設置やパトロールなどの広報活動を通じて規制エリアに立ち入らないように周知を進め、被害の未然防止につなげる。

 市役所で同日、国や県、警察、消防、猟友会などを交えた関係者会議(非公開)が前日に続いて開かれ、既に実施を決めていた入山規制のエリア、期間について協議した。

 市によると、エリア内や、エリアにつながる周辺の登山道の入り口も閉鎖する。閉鎖するのは宮様コース分岐や酸ケ湯温泉付近など計7カ所で、大岳にも登れなくなる。

 国有林は国、登山道は市や県がそれぞれ立ち入り禁止にして対応する。国道103号の通行は規制しない。

 半径3キロについては、秋田県鹿角市であった過去の入山規制の事例を参考とした。会議では「人命尊重ということであれば、範囲を広くした方が良い」「大きく設定した場合は観光面で影響があるのではないか」などの声があったという。

 青森市の西秀記市長は「人の生命に関わる事案であったこともあり、スピーディーかつ慎重に議論いただき、対策をまとめることができた。今後は市としても市民や県民、観光客、観光事業者などの安全、安心を確保するため、関係者一丸となって早急に対策を実行していく」とコメントした。

 このほかの対策として、現場周辺で箱わなを設置し、クマの捕獲・駆除に取り組むことも申し合わせている。