4番人気のシュトルーヴェを重賞初勝利に導いた鮫島駿
4番人気のシュトルーヴェを重賞初勝利に導いた鮫島駿

日経賞2024

[GⅡ日経賞=2024年3月23日(土曜)中山競馬場、芝内2500メートル]

 23日、中山競馬場で行われたGⅡ日経賞(芝内2500メートル)を制したのは鮫島駿が騎乗したシュトルーヴェ(セン5・堀)。4番人気ながら見事に重賞初制覇を成し遂げた。勝ち時計は2分31秒4(良)。

 スタート直後、観衆がどよめいた。横山典の駆るマテンロウレオが後続を大きく突き放す大逃げを敢行。10人の鞍上のうち、少なくとも過半数が予想していたであろうスローになるという展開予測がもろくも崩れ去った。

 しかし、勝ち馬の鞍上だけは違った。「レースはリズム良く運ぼうという作戦だったので縦長の展開でしたけど自分と馬の空間だけを意識してリズムよく進みました」と鮫島駿が回顧するように道中は後方2頭目で自分のリズムを刻み、他馬の様子見に徹する形に。残り5ハロンを切り、ちょうど外にいたアドマイヤハレーが進出を開始したタイミングでも馬群の後方で追走する程度にとどめた。勝負どころは最後の直線。前が空いたタイミングで一気呵成に仕掛けると、上がり最速となる35秒3の末脚でパートナーに重賞初勝利をプレゼントした。

 鮫島駿は「馬場的に『ちょっと外を回しても…』という馬場だったので」としたうえで、「荒れているけどそんなに外伸びじゃなくて全然内が使える馬場だったので、悪いところ、4コーナーを踏ん張れば直線はフラットだと思っていたし、そこだけ手応えが薄くなりましたけど、そこで馬も頑張ってくれて。4コーナーから直線入り口のちょっと馬場が掘れてスピードアップするところで、前の集団にくっついていけた、そこの勝負根性が大きかったですね。だから直線へ向いてボッケリーニの後ろまで来たときは『勝てるな』と思いました」と激戦を振り返った。現役随一といってもいい鞍上の〝馬場読解力〟が馬の勝負根性を引き立てるスパイスとなったというわけだ。

 ここまでベテランをもしのぐ卓越した馬場読みを生かした騎乗が光る鮫島駿。―馬場が荒れた時はサメカツを買え―その格言を馬券ファンは頭の片隅に置いておくべきではないだろうか。今回は的中へのヒントを存分に与えてくれたレースに違いない。

著者:東スポ競馬編集部