エピカリス産駒サントノーレの復帰を待ちたい
エピカリス産駒サントノーレの復帰を待ちたい

 2024年から新設された南関東ダート3冠路線。その前哨戦として、今年からダートグレード競走となったJpnⅡ京浜盃(大井1700メートル)が3月20日に行われ、地元・大井のサントノーレ(牡3・荒山勝)が中央勢を相手に7馬身差の圧勝劇を演じた。

 ホッカイドウ競馬の田中淳厩舎からデビューしたサントノーレは、地方交流重賞の鎌倉記念を制するなど2歳時は6戦3勝。昨年12月のJpnⅠ全日本2歳優駿では地方馬最先着の3着となり、NARグランプリ2歳最優秀牡馬に選出された。その後、大井に移籍。年明け2月14日のJpnⅢ雲取賞でも地方馬最先着となる3着に入って羽田盃への出走権を獲得していたが、グレードタイトルを求めて京浜盃に出走した。

 サントノーレは父エピカリス、母リンガスウーノ、母の父サウスヴィグラスという血統。ゴールドアリュールを父に持つエピカリスは現3歳世代が初年度産駒にあたり、サントノーレの京浜盃制覇が産駒としてのグレードレース初勝利となった。エピカリス自身、交流重賞の北海道2歳優駿に勝っただけで尻すぼみの成績に終わったが、初年度は88頭もの牝馬を集める人気ぶり。その後は50頭→35頭と激減していたが、昨年は64頭と巻き返している。

 5代母チヨウセイの産駒には1980年の札幌記念(ダート2000メートル)を制したマークリシルバーの名もある。同レースでは後に牝馬ながら天皇賞・秋を制覇したプリテイキャスト(母タイプキャストは72年の米最優秀古牝馬に選出された名牝。繁殖牝馬のセリで当時世界最高額の72万5000ドルで落札された)を破っており、オールドファンにとってはなじみがあるかもしれない。

 サントノーレの1歳上の半兄トレド(ヘニーヒューズ)は9月中山の新馬戦(ダート1800メートル)を6馬身差のレコードタイムで逃げ切ると、続く東京のプラタナス賞(ダート1600メートル)ではさらに着差を7馬身に広げて圧勝。JpnⅡ兵庫ジュニアグランプリでは単勝1・5倍という圧倒的な人気を集めたが、レース中に左前伸腱断裂を発症。予後不良となってしまった。無事だったら、どれほどの活躍をしていたかと惜しまれて仕方がない。一方、弟のサントノーレも好事魔多し。京浜盃を勝った翌日に右膝の骨折が判明し、クラシックは絶望的となってしまった。

 それでも、ここまでの交流レースはすべて中央勢が上位を独占してきた中でのサントノーレの圧勝は、地方競馬関係者に大きな希望を与えたのではないだろうか。地力は確かなだけに、万全の状態での復帰を楽しみに待ちたい。

著者:東スポ競馬編集部