敗れたサリエラ(左)とドゥレッツァ
敗れたサリエラ(左)とドゥレッツァ

天皇賞春2024

[GⅠ天皇賞・春=2024年4月28日(日曜)4歳上、京都競馬場・芝外3200メートル]

【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】
 渡辺 テーオーロイヤルの勝ち時計が3分14秒2(良)。レコードがキタサンブラックが持つ3分12秒5(良)だから、なかなかの好時計。戦前はメンバーレベルうんぬん言われていたが、レースレベルは決して低くなかった。

 柏木 そうですね。前後半で差がなく(前半5ハロン59秒7→後半60秒0)、中だるみのない流れでした。テーオーロイヤルはデキが素晴らしく、この流れを完勝したのですから文句はありません。普通、3000メートルを2回使えば調子は落ちるはずですが、4歳で丸1年休養したことがいい方に出たのかもしれませんね。

 渡辺 使うごとにステイヤーとして充実し、今が一番ピークかもしれないな。記録的にも堂々たるチャンピオンだ。

 柏木 逆に人気を分けた菊花賞馬ドゥレッツァは、私の本命でしたが15着に沈みました。やや折り合いを欠き、4角あたりで姿を消しましたね。

 渡辺 栗東滞在だっただけに、マイナス8キロは意外だった。470キロ台で出走してほしかったな。勝ちに行ったにしろ、ここまで負けるのはおかしい。敗因は分析する必要があるが、力負けではないと思う。ただ、ダービー馬タスティエーラも7着に沈んでおり、4歳世代がモロいと言われても仕方ないところだ。

 柏木 タスティエーラは体つきがシャープ、悪く言えば迫力がなかったですね。やや漁夫の利の感じはありましたが、4着に入ったスマートファントムのように、少しずつ力をつけてくる馬もいます。この世代の巻き返しに期待しましょう。

 渡辺 人気どころでは71年ぶりの牝馬Vが期待されたサリエラも12着と振るわなかった。栗東滞在、鞍上には淀にめっぽう強い武豊、有利な1番枠と好条件が揃っただけに残念だったな。

 柏木 前走のダイヤモンドSでテーオーロイヤルとクビ差の接戦を演じており、力はあるはずです。ただ、これだけ小柄な馬が体を減らしての本番だったうえ、好位から牡馬相手の真っ向勝負は厳しかったかもしれません。

 渡辺 2着のブローザホーンは後半まで我慢して、直線で外から勝負に出た。結果オーライだったな。

 柏木 3着のディープボンドは3年連続でこのレースに2着していましたが、7歳という年齢だけに敬遠されましたね。調教は抜群でしたし、本番でも見どころをつくり、長距離界のベテランらしさを示したのは立派です。小細工しない幸騎手のエスコートも良かったのでしょう。こういうタフな馬が増えれば、長距離界はさらに面白くなります。

 渡辺 ワープスピードは長距離で崩れなく走っているが、大幅な上がり目まではどうか。
 
 柏木 骨折の長期休養から復活してのGⅠ取りで、長距離界では当分、テーオーロイヤルを脅かすような存在は出てこないと思います。とにかく今日は勝ち馬をホメましょう。

著者:東スポ競馬編集部