阿久和南にある(株)青武(せいぶ)組(武田和親代表取締役)の社員らが2月19日から3月2日まで、横浜市水道局の応急復旧隊の一員として石川県輪島市に派遣され、断水が続く現地で水道設備の復旧作業にあたった。

この活動は市水道局と一般社団法人横浜建設業協会が結ぶ災害時の協力協定に基づくもの。同社では武田代表含む6人が第十次と十一次の派遣隊として、ダンプや各種資機材を積んだ工作車、人員輸送連絡車、重機とともに出動。同局職員や他の建設会社の社員と一緒に派遣された。

武田代表によると、応急復旧隊の拠点は同県金沢市。派遣中は毎日、ここから110Kmほど離れている輪島市門前町まで自動車で往復した。主に従事したのは、浄水場から仮設住宅までつながる水道管の修復。地震で破損・離脱した本管のジョイント部分などを一旦切断してつなぎ直した。

軒並み倒壊

現地の様子について、「テレビなどで見た光景のまま。倒壊した家が数カ所ではなく、広範囲に広がっている」と武田代表。門前町には板張りで黒い瓦屋根の風情ある建物が立ち並んでいたが、軒並み倒れていたという。倒壊家屋の近くにある水道管も修復した。海岸線の地盤が3m近く隆起している様子も目にし、地震の激しさを感じたという。

住宅で生活を続けている人は基本いなかったそうだが、家を片付けたり、荷物を運び出す姿を見かけたという。「水はいつになったら出るの」と尋ねられることもあった。「『一生懸命修復しているけれど、私たちにも分からないんです』と答えるしかなかった。それでも、『ありがとう』『ご苦労様』と声をかけてくれた」と振り返る。

「自助」の必要性痛感

能登半島地震の被災地の状況を目の当たりにして、行政などによる「公助」にも限界があり、自ら災害に備える「自助」の重要性を痛感したという。「水も食料も1週間以上蓄えないといけないと思った」と武田代表。「人口密度の高い横浜市で大地震が発生したら、とても大きな混乱が予想される。お互い様で支え合う隣近所のつながりも大切」と気を引き締めていた。