東日本大震災から13年。

大学生だった私は2011年6月からボランティアを契機に岩手県陸前高田市へ通い始め、大きく変わり続ける陸前高田の街を定点的に見続けてきました。見渡す限りボロボロだった街からは瓦礫が撤去され、かさ上げ工事で新しい地面ができ、そこに新しい家やお店が建設され始めています。

ここ数年で、新しいお洒落なお店もたくさんできました。発酵をテーマにした「発酵パークCAMOCY」や泊まれる古本屋「山猫堂」は、とってもチルな空間で湘南の方々も大好きだと思います。また最近ですが、鎌倉発のあま酒専門店「AMAZAKESTAND」もオープンし陸前高田の友人たちから大好評です。

「風化させない」若者が魅力発信

一方、伝承のために残すことを決めた震災遺構が街中にあります。その景色は何度見ても異様で、いつも姿勢を正される思いになります。

震災伝承の動きとしては、防災マイスターなどのプログラムを通じて「3.11を風化させない」という思いを持った地元の方々や、若者たちの活動に携わる場づくりが進んでいること、また、陸前高田を「震災があった悲しい場所」という目線での伝承だけではなく、街の「魅力」を軸に現地に足を運んでもらい、その一環で防災「も」学んでもらうというスタイルの観光の在り方について模索されている点が最近の変化だと感じます。

この地に魅了された若い移住者が多く存在し、定着しているのも特徴の一つ。豊かな自然や美味しい食べ物、熱いお祭り、そして何より人の温かさなど、数えきれないほどある魅力の発信は私もぜひ担っていきたいです。

昨年3月から始めた茅ヶ崎と陸前高田での生活。2拠点というバランスが丁度良く、充実のうちにあっという間に1年が過ぎました。家という「拠点」ができたことで13年通い続けて初めて、親・姉・友人等が陸前高田にも遊びにきてくれたことがうれしかったです。訪れた人には街の魅力はもちろん、震災遺構や伝承施設も紹介しながら3.11で起きたことや防災の大切さを伝えています。二度と悲しい思いをする人を出さないように。両市の架け橋となりながら、微力ながらでも伝え続けていきたいと思います。

実は、陸前高田は東北の中でも雪が少なく、気候が温暖であることから「岩手の湘南」とも呼ばれています。「神奈川の湘南」の皆さん、ぜひこちらへ遊びにきてください。