子どもの年齢差で保育料の減免が受けられなくなるのは不平等ではないか――。藤沢市内で2児を育てる瀬戸友里子さん(37)は切実な悩みを抱えている。第1子がこの春から小学校に進学し、第2子が算定対象から外れたために保育費が倍になったからだ。そこで藤沢市議会2月定例会に支援拡充を求める陳情を提出したところ、全会一致で趣旨了承を得た。これを受け、市も独自支援を検討する方針という。

瀬戸さんは小学1年生の長男と2歳の長女の母。夫婦共働きのため、長男は学童保育に、長女は保育園に通っている。

国は保育料の多子軽減制度を巡り、2人目の保育料を半額、3人目以降は無償としている。ただ、減免対象は第1子が未就学児かつ認可保育園利用者などに限っており、瀬戸さんの場合、前年度までは長女の保育料は半額だったが、長男が進学後は満額支払わなければならなくなった。

学童保育費もあり、従来よりも月額の負担は5万円ほど増加。ただでさえ物価高で食費や光熱費が上がり家計を圧迫しているところ、負担増が重荷となり、貯金する余裕もなくなった。

来年になれば長女が3歳になり、保育料は無償化になる。だが、そもそも何歳差であっても多子に変わりはないのになぜ上の子が小学校に進学すると下の子が第1子扱い(満額)になるのか。それまで関心がなかった政治について調べるうち、子育て支援であるはずの制度の矛盾に一層納得がいかなくなった。

市負担約1億円

そこで藤沢市議会2月定例会に市独自に算定対象の年齢制限撤廃を求めて陳情を提出。「子育て世代にやさしい都市、藤沢」を訴え、全会一致で趣旨了承を得た。

年齢制限の撤廃は横須賀市が2022年4月から年齢や施設の種別を問わず、減免制度を拡充。川崎市も今年4月から同様に制限を撤廃した。

市保育課によると、両市と同様に支援を拡充した場合、新たに制度の対象となるのは約350世帯で、市の負担額は約1億円程度増と見込む。

同陳情の結果を受け、市は今後、国に改めて制度の拡充を要望するとともに市としても拡充を検討するとしている。瀬戸さんは「もしかしたら自分は支援から漏れてしまうかもしれないが、同じように負担を感じている人のため、少しでも早く拡充を実現してほしい」と訴えている。今後は6月をめどにオンライン署名を集め、鈴木恒夫市長に提出する考えという。