横須賀市はフリーマーケットアプリ大手の「メルカリ」で、市庁舎などで使われなくなった備品を出品・販売する取り組みを4月23日から始めた。リユースの推進による廃棄物削減だけでなく、出品作業の一部を「障害者ワークステーション」の職員が担うことで、一般就労に向けたスキルアップにつなげる。売上は市の一般財源として、カーボンニュートラルなど環境分野の事業に活用していきたいとしている。

自治体による「メルカリshops」での備品販売は国内26件目で、県内では鎌倉市に次いで2例目。「まだ使うことができ、利用価値のある備品」を出品し、各商品単価の10%を手数料として差し引いた売上が市の一般財源に入る仕組み。

同日出品したのは、プリンター、応接セット、ポスター、東京五輪記念スカジャン、マンホール蓋など。従来は廃棄処分や庁内で保管していたもので、上地克明市長は「新たな価値を見出してもらえる方へお譲りできるなら嬉しく、市のPRにつながれば。市民にリユースへの関心を持ってもらい、環境問題に対する意識啓発にも期待したい」と話した。

商品により発送または現地引渡しで対応。出品できる備品の数は限られているが、持続的に取り組んでいけるよう商品の掘り起こしや追加をして、ショップの魅力を高めていく。

「新業務で自信深めて」

この取り組みのもう1つの要素が、障害者の一般就労を後押しするスキルアップ機会の創出だ。

市が2019年に設立した「障害者ワークステーション」で会計年度任用職員として働く障害者(精神・知的)が、ホームページに掲載する商品説明や写真撮影を担当。印刷や製本、封入作業、ラベル貼り、庁内文書の仕分け・運搬、パソコンによる簡易データ入力といった定型的な作業とは異なる、新たな業務に挑戦することで自信を深めてもらう狙い。

同社によると、他自治体ではシルバー人材センターや地域福祉作業所との連携例はあるが、こうした取り組みは全国で初めてだという。