NPO法人マリゴールドの魔法(世古壽実代表)は4月24日、記念講演会「『赤毛のアン』とプリンス・エドワード島の世界」を開催した。

講師を務めたのは、作家で翻訳家の松本侑子さん。松本さんは、不朽の名作『赤毛のアン』の日本初の全文訳を行った。当時の日本ではなじみのない原作に登場する海外の文化をうまく言い換えるなど、翻訳の苦労を解説。また、インターネットも未発達の中、作中でアンが引用して発する名句の出典探しを、海外の図書館などを通じて行ったことも紹介すると、会場のかなっくホールに訪れた60人の参加者からは驚きの声も上がった。その後も、登場人物の名前の意味や架空の地名に隠された謎解きなど、大人でも楽しめる作品の奥深さを紹介。写真上映では、作品の舞台となった現地の写真をスコットランドの音楽に合わせてスライドショーで流し、作中世界の旅を楽しんだ。

さらに特別ゲストとして、アニメ版でアンの声優を務めた神奈川区出身の山田栄子さんも来場。山田さんは「自分の知らないアンの世界を知ることができた」と笑顔で振り返った。松本さんは「山田さんを前にアンのセリフを話すのは恐れ多くて」と苦笑しながらも、「作品の奥深さはもちろん、登場人物たちの生き方から現代を幸せに生きるヒントを伝えられれば」と思いを語った。