藤沢市は1日から民間事業者と連携し、不要な学生服を回収し、必要な人に安価に届ける試験的な取り組みを始めた。今月末まで市役所本庁舎1階に回収ボックスを設置。経済的に困窮する世帯の支援にとどまらず、廃棄物の削減や障害者雇用の促進など、SDGs(持続可能な開発目標)の理念を背景に多角的な社会課題解決につなげたい考えで、今後利用ニーズを踏まえ、夏にも実施したいとしている。

連携するのは、市内で学生服のリユース事業を行う「さくらや藤沢店」(鵠沼海岸)。同店が寄付された学生服を査定し、買い取り額を算定。障害者福祉サービス事業所を運営する社会福祉法人ひばり(善行)にクリーニングを委託し、市価の2〜3割で店頭販売する。同店によると一般的な詰襟(学ラン)の場合、状態にもよるが上着は6千円、ズボンは3千円程度で提供するという。回収品の買い取り相当額を、同店が今年1月に創設された「市こども未来基金」に寄付する。

事業は1月と2月に同店が市庁舎で実施したランドセルの譲渡会がきっかけ。2日間で35個が新たな持ち主に譲り渡された一方、同時に実施した学生服の募集も31点回収実績があった。

そこで店主の貝塚直美さん(48)が市に今回の事業を打診。同店は昨年7月に市の「ふじさわSDGs共創パートナー制度」に登録しており、制度の枠組みを活用して協働で実施することになった。貝塚さんは事業の成功に向けて「学生服は思い出が詰まっている分、手放せない人が多い。捨てられない人と必要な人の橋渡しができれば」と期待する。

今回の事業の結果を踏まえ、市では夏休み期間中にも第2回を開催する予定。市企画政策課では「ぜひ多くの市民のご協力を。寄付を通じてSDGsについて考えるきっかけにもしてほしい」と話す。

募集しているのは、卒園・卒業から5年以内の幼稚園、小中高校の学生服。園や学校名を備え付けの用紙に記入した上で、ボックスに入れる。