堀之内稲荷神社の駐車場=南区堀ノ内町=で5月15日、スーパーマーケットチェーンのマルエツが移動スーパーの運行を開始した。地域の高齢化が進む中、買い物支援だけでなく交流の場としても期待される。

実施地域の堀ノ内二丁目第3町内会は、住民の半数以上が70歳以上で、区内でも高齢化が進んでいる地域だ。坂が多く買い物が困難な高齢者の増加が課題になっている。

そこでマルエツは昨年11月、南区と睦地域ケアプラザに買い物支援として移動スーパーを提案した。「店舗での販売だけでなく、お客様のお困りごとを支援できれば」と担当者は話す。

今回は、同町内会や南区社会福祉協議会、堀之内稲荷神社などの協力を得て実現した。行政と地域、事業者が連携した移動スーパーの実施は南区では初。

毎週水曜午前10時10分から30分まで、マルエツ井土ヶ谷店から運ばれた野菜、生鮮食品、果物、惣菜、日用品など約400品目が並ぶ。今後は商品のリクエストも可能だという。同町内会の坂藤高明会長は「地域の将来のためにも、お年寄りや妊婦などが生活しやすい環境づくりに協力できれば」と話す。初日の15日は31人が買い物を楽しんだ。近隣住民は、「この辺りにはスーパーがなく、歩くと10分はかかるので助かる」と話した。

交流の場として

区は買い物支援だけでなく、地域住民が顔を合わせるコミュニティの場としての効果も期待する。睦地域ケアプラザの生活支援コーディネーター大下裕子さんは、「住民同士が集まって会話できれば介護予防にもなる。地域住民同士がつながる場の一つになってほしい」という。

マルエツ井土ヶ谷店が実施可能範囲とするのは、南区全域と金沢区、栄区。区高齢・障害支援課の担当者は、「スペースの確保などの課題もあるが、買い物が困難なほかの地域にもこの取り組みを拡大していきたい」と話した。