赤ちゃん絵本専門店「あかちゃんえほんや」(市内岡崎6717の7)を営む内田早苗さん(49)が、母子手帳とともに絵本を手渡す機運を日本中に起こすことを目的に、「一般社団法人マタニティ期から絵本読みきかせ推進協会(通称またよみ協会)」を立ち上げた。5月から活動をスタートさせた団体理事長の内田さんに設立の思いを聞いた。

株式会社まちよみの代表取締役で、絵本講師として子育てに関する講演活動も行う内田さん。その中で絵本の読み聞かせはマタニティ期から始めるのが一番早いという考えに至り、その大切さを知ってもらうことを目的に、2021年に任意団体として「またよみ協会」を立ち上げた。その後講演にはマタニティ期の人だけでなく、活動に関心をもった子育て中の保護者も多く受講。「生まれる前に絵本のことを知りたかった」「また子どもを授かったらお腹の子に読みたい」といった声が多く聞かれたことから、どの家庭にもマタニティ期のうちに絵本を届けるには、母子手帳と一緒に手渡すのが確実であると気づいた。そこでマタニティ期の読み聞かせの重要性や有用性を、母子健康手帳を発行する行政などへの提案につなげていくため法人格を取得。団体には絵本専門士、絵本講師、英語絵本教室の指導者など経験豊富なメンバーが名を連ね、マタニティ期から絵本のある暮らしをサポート。出産後の子育てにも寄り添えるように活動していく。

一般企業へも提案していく

一般企業に対しては、産休や育休を取得する従業員に絵本を手渡すとともに、マタニティ絵本講座の受講機会を提供。社内に絵本や子育て本の貸し出しコーナーを設けるなど、会社と家庭を繋ぐ場の提案などをしていく。内田さんは「社員が妊娠の報告をした時から、企業には子育て支援が始まることを理解してもらいたい。そうした姿勢を全社員に見せるのが重要で、社員は働きやすい職場と感じるようになる。産休や育休は制度として当たり前になってきているので、これからはその前段階からの支援が必要。企業のイメージアップにもなり、人材の流失を防げぐことにもつながる」と話す。

また各地のマタニティ期の人に向け、協会の趣旨を伝えるため、公認サポーター制度を設置。講座を受講することでマタニティ期の読み聞かせへのアドバイスに必要な知識が得られ、ほかにも個人・団体の年間会員なども募集していく。

内田さんは「今ここにある命に愛情を届ける手段として絵本を読んでほしい。そうした思いはきちんと届き、その愛情表現が親となる自分への自信につながり、幸せな子育てのスタートを切ることができる。絵本というアナログな方法だが一手間かける子育ての道具としてこの機運を世の中の当たり前にしたい。私たちは全力でその手伝いをしたいと考えている」と話す。