綾瀬市の綾西自治会(太田淑夫会長)がこのほど、「電子回覧板」の試行運用を開始した。会員の高齢化で自治会離れの進む地域が増える中、電子回覧板の運用は役員らの負担軽減を目的とした取り組みの一つで、若い世帯に向けたアピールにもなりそうだ。

同自治会の電子回覧板は、スマートフォンの無料通信アプリ「LINE」の機能を活用したもの。5月1日から9月30日までを試行期間としており、5月15日までに同自治会に加入する1172世帯のうち、306人が登録している。

電子回覧板の導入は、昨年まで同自治会の役員を務めていた工藤善宏さん(63)の提案によるもの。他地域の自治会で、電子回覧板の導入事例を紹介する報道番組を見たことがきっかけだったという。

同自治会の濁川篤副会長(70)は、「次の人へ回すことが優先されてしまい、地域の情報が読まれていないと感じていた」と従来の回覧板の課題を説明。新たな情報伝達のツールとして昨年6月から準備を進め、デジタルに不慣れな会員にも配慮して、従来の紙の回覧板と併用する形で運用にこぎつけた。

情報の発信は、提案者の工藤さんと同自治会執行委員の2人で担当。これまでに自治会費の集金日や綾西自治会館の休館日を発信したところ、「後で見返すことができて役に立った」といった声が寄せられたという。

工藤さんは電子回覧板について「地域全体の高齢化か進む中で役員の負担軽減だけでなく、未加入の方々にも自治会活動に興味をもってもらえるきっかけになれば」と期待を寄せた。

同自治会は、要望や意見をとり入れながら今後も電子回覧板の運用を継続していくとしている。

座間市でも

座間市では、緑ケ丘南自治会(湯浅一弘会長)が2017年から独自に立ち上げたホームページで自治会活動や行政の情報を発信している。

従来通りの回覧板と併用しながら「若い世帯にも地域の情報を伝えたい」と早くからデジタル化をとり入れた。LINEのプッシュ通知でホームページの更新を登録者へアナウンスしている。地域でサルが出没した際には、注意喚起として情報を共有し、「いち早く知れて良かった」という声が地域住民から寄せられたという。

デジタル化の普及に伴って課題とされる発信担当者については、スムーズに移行できてるといい、湯浅会長は「紙の回覧板とデジタルの両方で鮮度の良い情報を届けたい」と話した。