八王子市(初宿和夫市長)は子育て支援の一環として、市立小中学校などの給食費無償化の事業費などを盛り込んだ補正予算案を6月10日から開会する第2回市議会定例会に提出する。予算案が通れば、8月下旬の2学期開始から給食費の無償化がスタートすることになる。(6月8日起稿)

補正予算案の総額約94億1300万円のうち、一般会計は90億9900万円。このうち給食費無償化にかかる事業費として11億2000万円を計上した。国が3割にあたる3億4000万円、都が半額の5億6000万円を補助し、市が残り2割の2億2000万円を負担する。

無償化の対象は市内の市立小中学校、義務教育学校に通う児童・生徒約3万7000人。1人当たりの年間負担軽減額は小学生が約5万1000円、中学生が約6万2000円を見込み、食物アレルギーや特別な事情で弁当を毎日持参している場合は保護者に給食費分を現金で給付する。

公約のひとつ

都内における公立小中学校の給食費無償化は、すでに特別区(23区)などで進んでおり、今年4月から立川市や多摩市などでもスタート。多摩地域における自治体格差を懸念する声も出ていた。

給食費の無償化は今年1月の市長選挙で初当選を果たした初宿市長が、子育て世帯の経済的負担軽減施策として公約の一つに掲げていたもの。初宿市長は就任初日に学校給食費無償化に向けた庁内検討会を設け、「可能な限り速やかなスタートを目指す」として準備を進めていた。

6月3日の記者会見で初宿市長は「未来を担う子どもたちに、住んでいる地域によって教育環境の格差があってはならないと検討を進めてきた。4月から始めることはできなかったが、私なりに最速で示すことができた」と述べた。

財源確保も課題

一方で、新たな歳出が増えることによる財源の確保も重要な課題だ。年度当初からの無償化となる来年度は概算で23億円の事業費がかかり、市が半額を負担することになる。初宿市長は厳しい市の財政状況を注視しつつ「既存事業を見直し、経費削減や歳入を確保することで対応する」と話している。