若者は単純に経験に乏しい。だから、無知ゆえの無礼を働くこともある。それは仕方ない。しかしそれでも、「なぜそんな行動をとるのか」「なぜそんな受け取り方をするのか」など理解しがたいことが、若者と接する場面では多々起きるはずだ。会社で若手社員と接していて気疲れしている方も少なくないだろう。

企業組織を研究する東京大学の舟津昌平氏は、それは単に若者が悪いとかおかしいという問題ではなく、もっと違う原因――たとえば入社までを過ごす学校や大学の在り方、就活や会社をはじめビジネスの在り方、そして社会の在り方が影響した結果であると主張する。

本記事では、舟津氏の著書『Z世代化する社会』より一部抜粋・再構成のうえ、Z世代に影響を与えているYouTuberの特に倫理の論理について、その問題点を浮き彫りにする。

インフルエンサー、そしてアンチ

「推し」という概念は、現代にすっかり定着した感がある。そして現代の若者――Z世代――にとって「推し」の対象はアイドルだけではない。昨今話題にのぼるYouTuberやインフルエンサーについても、誰かしら「推し」がいるのがふつうになってきている。

そしてZ世代は、YouTuberやインフルエンサーから、たくさんのことを学んでいる。勉学に限っても○○大学と名乗るチャンネルや、勉強法や資格試験の対策動画も充実していて、もはやYoutuberは一大教育コンテンツである。若者にとって大学の先生よりもよっぽどわかりやすくて、信頼できる身近な存在なのだろうとも思う。

さらにZ世代に人気のYoutuberやインフルエンサーは、われわれからは「見えない」存在だ。誰々っていうYouTuberが流行っていると聞いても、なかなか目にする機会がない。