地方の企業は、東京とは大きく異なる点があります。それは、人間関係の強さ。これも大きなヒントとなり得ます。

福岡を例にすると、SUPER STUDIOが自社ECのカートシステムの事業を始めた当初、クライアントの多くは都心の企業でした。一方で「ECは九州が熱い」といった話を聞くことがあり、福岡の企業の支援をさせていただくようになりました。

九州はコールセンター発祥の地ということもあり、通信販売事業が盛んで、「通販大手」といわれる企業が複数あります。全国的な知名度はさておき、かなりの売り上げを誇っているところもたくさんあります。

「なぜ九州でECが盛んなのか」を考える

なぜ九州でECが盛んなのかと考えると、いろいろ要素はありますが、企業同士のつながりが強いことがあるように思います。

特に福岡では、同業、競合問わず、ノウハウの共有が盛んに行われています。大きく成功した企業が広く自分たちの経験を伝え、それを学んだ方々が独立してビジネスを始めるそうです。

当初、もしかしたら「うちより儲かってほしくないから」と、他社への営業を止められるケースがあるかもしれないと感じていました。しかし実際には、みなさん「あの会社を紹介するよ」「このシステム、お勧めですよ」と広げてくださっています。

また、九州の企業では、別の企業の人の話を聞いたり、社内ツアーに参加したりするということもよくあるそうです。経営者の方からも、「ほかの企業の思想を学びに行くんだ」という話をよく耳にします。勉強熱心な企業が多く、常に最新の情報をキャッチしようという姿勢があります。

一方で、都心の企業には、自分たちのノウハウなどをオープンにしない傾向があるように感じます。その結果、勝ち負けの構図になりやすい。企業同士が情報を共有するカルチャーを持つ地方では、共に成長することで勝敗はつかず、良い意味で均衡感が保たれています。

そして、「みんなで良くなろう」ということを前提に、多くの企業がさらに上を目指しています。

EC事業で年間数10億から100億円以上の売り上げを上げている企業もあり、客観的に見ればとても良い状態に思えますが、皆一様に「まだまだです」「先輩たちはもっとすごいから」と答えます。自分で創業して成功している方も多いですが、「自分は成功者である」といった雰囲気も感じさせません。

現代では、ビジネスのノウハウやスキーム、方程式はある程度決まってきています。強い成長意識を持つ地方の方々にそれをお伝えすることができれば、絶対に成長できるはずです。

また、「話を聞く」ことも重要です。