それに、製造品であっても、決して地方のものが都会に劣っているということではありません。都会の人が地方の商品をECで買うことは多いでしょうし、もちろん、地方の人が地方から商品を買うこともあります。

たとえば、九州はもともと通信販売が盛んで、化粧品や健康食品など、いろいろな商品が全国に向けて売り出されています。再春館製薬所の「ドモホルンリンクル」や、やずやの「にんにく卵黄」などが有名です。

都会には情報や人が集中し、新しいものがいろいろ出てきます。そのため、「かっこいい」「流行っている」という基準がすぐに変わります。それが地方に伝わってくるのに少し時間がかかるため、東京のものがすごくハイセンスのように見えますが、それだけの違いであり、技術や品質の面で大きな違いはないはずです。

地方に東京よりも給料の高い地域を

各地域が持つ魅力を活かして、たくさんの企業が地方から全国へとビジネスを広げてほしい。さらに、日本を超えて世界へ挑戦してほしいと思っています。

実際に、海をわたって活躍している企業はたくさんあります。たとえば、日本の焼肉チェーンがインドネシアで成功している、香川県発のうどんのお店がヨーロッパを席巻しているといった事例もあります。

日本の調理技術は非常に高く、サービスも高品質です。企業のノウハウをマニュアル化してフランチャイズで世界へ進出するという流れには、これからも大きな可能性があるでしょう。

もちろん、飲食業やサービス業に限った話ではありません。製造業でも小売業でもITでも、日本の地方企業は世界に出るためのポテンシャルを持っています。

ただ、現段階では、全国へ、そして世界に出るためのノウハウや意識が足りていない企業が多いのも実情です。先頭集団はすでにいますが、もっとチャレンジする会社を増やして、実績を作っていかなければいけません。

日本の地方がそんな会社であふれたら素敵ですよね。その結果、東京よりも平均給料の高い道府県が出てきたら最高です。

多少時間はかかると思いますが、地域が持つ魅力を活かして「世界に出よう」と声を掛け合う社会を作る。そのためのツールやノウハウ、考え方はすでにそろっています。