「来週の金曜日までに、100人に連絡をして10人は集客してほしい。ただ、あくまでも目標は目標だから、難しいのなら、それはそれで問題はない。もちろん私としては、10人は集客してほしいんだけど……」

これを言い換えれば、

「今夜7時までに、新宿駅東口のAというビルのエントランスまで来てほしい。もし難しいのなら、新宿駅の東口の辺りまででもいいし、何なら新宿駅まで来るだけでもいい。JRの改札でもいいし、小田急のほうでもいい」

こうなる。こんなことを言われたら、頭を揺さぶられているようなものだ。当然、

「今夜7時までに、新宿駅東口のAというビルのエントランスまで来てほしい」

と伝えられたほうが、部下は安心する。曖昧な目標は、相手を「どうしたらいいか、わからない」という状態に追い込んでしまう。

「目標の高さ」は慣れの問題

最後に(3)について。「目標が高すぎる」だ。

おそらく多くの人が、最初に(3)を思いつくのではないか。しかし目標達成の専門家からすると、それはありえない。単なる印象で決めつけているに過ぎない。そもそも「高すぎる目標」とは何なのか? 考えられるのは、

「不可能な目標」

「非現実的な目標」

である。日本の東京に住んでいて、

「これから1時間以内にニューヨークへ行ってくれ」

と言われたら「目標が高すぎる」だなんて思わないだろう。「不可能だ」「非現実的だ」と笑って言い返すことができる。「どうしたらいいか、わからない」なんて、頭を悩ますこともない。では、

「東京から大阪まで、車で6時間で行け」

と言われたら可能かもしれない。高速道路の状況にもよるが、理論上は達成可能だ。しかし、

・10年間、車の運転をしたことがない
・高速道路を走行した経験がない
・出発する時間が夜の11時

このような条件が加わると、「不可能」ではないが「難しい」となる。目標が高すぎるので、もっと低くしたらいいだろう。